WBC日本代表候補の巨人杉内俊哉投手(32)が「黒子エース」になる。日本野球機構(NPB)は30日、日本代表候補選手の背番号を発表した。球界のエースが集う中、杉内が18番を背負う。過去2大会連続でMVPに輝いた前レッドソックス松坂からエースナンバーを引き継いだが、「黒子役に徹しますよ」と“2代目”は至って謙虚。フル回転で日本の3連覇に貢献する決意を明かした。

 杉内に偉大な背番号が与えられた。楽天田中、広島前田健、西武涌井ら並み居るエースを差し置いて「18」を背負うことが決まった。「年齢でしょ。それしかない。本来だったらマーくんでしょうね」と意に介していない様子かと思われた。だが、過去2大会連続で出場している左腕は背番号の意味をしっかりと認識していた。

 杉内

 松坂の後を引き継いでつけられるのは同じ年だし、すごく光栄なこと。(2大会連続MVPは)当然、知っていますよ。一緒に戦っていたんだから。でも、そこは狙っていない。僕はチームの優勝だけ。黒子役に徹しますよ。

 過去2大会で7試合(9回2/3、防御率1・86)に登板。米国、韓国、キューバ相手に、リリーフでマウンドに上がった。「ブルペンで電話が鳴って、名前が呼ばれるまで分からない。自分が投げるとなれば一気にテンションが上がった」と、当時の記憶は鮮明に残っている。

 球数、連投に制限があるWBCルールでは、先発も中継ぎも関係なく、一丸となって戦わなければ勝利は見えてこない。「僕は言われればどこでも投げる。良ければ長く投げるし、ダメなら交代。1点を争う試合が続くのでそうするしかない」と、実体験から得た“黒子の哲学”には説得力がある。

 準備も余念がない。巨人の合同自主トレが行われている宮崎で、この日は「故障明けだから無理をするわけにはいかない」と、キャッチボールと遠投で調整。前日までは2日連続でブルペン入りして連投への対策も講じた。見守った内藤トレーニングコーチは「去年の終盤とは別人。体の状態は巨人にきてから一番いい」と、太鼓判を押すほど順調に進んでいる。自主トレを打ち上げ「昨年は投げられない時期があった中で、ここまで復活した。マウンドに上がる緊張感がまた味わえる」。杉内の背中が、また頼もしくなった。【為田聡史】