「暴走老人」を自任する中日高木守道監督(71)が1月31日、新外国人ダニエル・カブレラ投手(31=ダイヤモンドバックス3A)の「暴走投球」に待ったをかけた。元メジャー死球王に対し、日本で死球を当てた場合は「帽子を取って謝罪しなさい」と助言した。だが、激しい気性の助っ人に、さすがの監督もちょっぴり心配顔だ。なお、今日1日、守道竜の沖縄キャンプがスタートする。

 1月30日に開かれた高木監督主催の外国人ウエルカムパーティー。ステーキをパクつきながら、カブレラが質問した。「日本では死球を当てた時、どうすればいいんだい?」。意外な問いに驚いた監督だが、新外国人の“前評判”から意図を察し、助言を送った。

 「帽子を取って謝りなさい。日本はそういう国だからね」。「暴走老人」を自任する監督が、ジェントルマンのススメ?

 カブレラはそれほど名高い「暴走投手」だった。

 最速150キロ超の速球を武器とするメジャー48勝右腕は死球王の顔も併せ持つ。オリオールズ時代の08年に18死球。その年のメジャー最多記録だ。06年は同最多の17暴投。07年は同最多の108四球と荒れ荒れ。全米でも超有名な暴れん坊で名を売ってきた。

 カブレラ

 ボスがそう言うのなら帽子を取るよ。今までわざと当てたことはないし、ドミニカからはるばる死球を当てに来るはずがない。チームを優勝させるために来ているんだから。

 だが、笑みは不敵だ。単なる制球難男ではない。性格面でも暴れん坊伝説が残る。07年レッドソックス戦でボークの判定に逆上し、打者の頭部付近に危険球を投げて退場処分を受けた。さらにその処分に怒って大暴れ。これが両軍の大乱闘に発展し、6試合の出場停止処分となった。

 危険な香りが漂う暴走助っ人に、さすがの暴走監督もひと声掛けずにはいられなかった様子。「ジャパニーズスタイルでやった方がいい。でも、自分からそんなこと聞いてくるんだら、相当当てたんだろうね」と少々心配顔になった。

 それだけ当てまくれば、乱闘王の称号ももらっていたのでは?

 カブレラ

 打者は誰も向かってこなかったよ。当てて向かって来たらどうなるか、みんな分かってるんだろ。子どものころにやってたテコンドーの黒帯も持ってるからね。でもこの辺にしとこう。これ以上言うとみんな怖がるから。

 203センチ、118キロの巨漢。テコンドーの黒帯?

 休日返上で体を動かすと、ビーチでは強烈なハイキックも披露。オオッ、怖っ!

 守道監督の心配をよそに、危険なキャンプインになりそうだ。【松井清員】

 ◆ダニエル・カブレラ

 1981年(昭56)5月28日、ドミニカ共和国生まれ。99年にオリオールズと契約。メジャー通算48勝。06年には第1回WBCの出場。12-13年ドミニカ・ウインターリーグでは最優秀投手に輝いた。趣味は音楽鑑賞。203センチ、118キロ。