初シートも問題なし!

 阪神ドラフト1位藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)が23日、沖縄・宜野座で初めてシート打撃に登板した。西岡、桧山ら主力打者のべ10人を相手に1安打。関本、日高からは空振り三振も奪った。初の実戦形式で、ほぼ完璧な投球内容を披露した。

 抑えていた力が解き放たれた。初めての実戦形式で、藤浪の眠っていた本能が呼び覚まされた。1人目の打者、日高に対する1球目だ。剛球ストレートがうなりを上げた。わずかに外れてボールになったが、これまでブルペンで見せてきたボールから、また1段と質の上がった直球を投げ込んだ。2球目も外角への直球。百戦錬磨のベテラン日高を詰まらせ、右邪飛に打ち取った。

 藤浪

 久しぶりの実戦なのに、ストライクが取れた。ある程度、狙ったところに行ったのでよかった。(自己採点するなら)75~80点。あとは真っすぐとかの微妙なコントロールですね。

 早速ドクターKぶりも発揮した。2人目の関本は、フルカウントから外角直球で空振り三振に仕留めた。5人目日高には、決め球の「必殺FUJINAMI」こと、左打者の内角低めへのカットボールを完璧に決め、この日2つ目の空振り三振を奪った。

 大阪桐蔭の先輩西岡にこそフルカウントからの甘く入った直球を中前に運ばれた。だが並み居る経験豊富な打者を相手に、のべ10人で1安打。「緊張は特になかったです。阪神のそうそうたるメンバーを相手に、臆することなくしっかり投げられました」と確かな自信がみなぎった。

 見守った山口投手コーチは「順調やろな。投げられたことが良かったんちゃう。ここまでは思惑通り、計画通りきてると思うけどな」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 1月10日に始まった合同自主トレ初日から、立ち投げ期間が1カ月続いた。今月10日に捕手を座らせての本格投球を解禁し、徐々にペースを上げてきた。打者を立たせたり、実戦を想定してカウントを取りながら投げたりと、ゲームの環境に近づくにつれ、徐々に本領を発揮してきた。そしてこの日のシート打撃。投げたいという思いを爆発させ、あらためて実戦能力の高さを証明した。対外試合で投げれば、どんな真価を見せるのか。18歳はまだ底を見せていない。【山本大地】