<オープン戦:DeNA5-3西武>◇22日◇横浜

 今年のDeNAは集中力が違う。0-3で迎えた8回2死一、二塁から死球を挟んでの3連打で一挙5点を奪って逆転勝ち。中畑清監督(59)も「集中力がいっぺんにきますね」とほほ笑む集中打で、本拠地のファンにチームの変化を見せつけた。

 昨季の3失点以上での負け数は66。ラミレス、中村頼みだった打線は、投手が崩れれば、なかなか逆転できなかった。だが、この日はラミレスの2点適時打に続き、梶谷、荒波の若手が逆転劇を呼んだ。ここに昨年との違いがあった。

 走者一掃の逆転三塁打を放った荒波は「去年は打とうと力んでいたけど、今は力を抜いてヘッドを走らせることを意識している」。左前打でつないだ梶谷も「打球方向は考えず、打てる球を打つことだけ考えました。去年は考えすぎてスイング自体が変わってしまったので」。結果を求めるあまりにフォームを崩す昨年とは、ひと味違っていた。

 その成果は、単純だが振り込みが生んだ。秋季キャンプではバットを力強く振ることのみに集中し、技術的な課題は春から取り組んだ。今も試合後の室内練習場で、多くの選手が打ち込む。高木チーフ兼打撃コーチは「それぞれが自分の形をつかみ出している。結果は大事だけど、そのために必要な裏付けのある自信が、スイングへの集中につながっている」と手応えをにじませた。

 ブランコらの補強も大きいが、それだけで勝てる打線にはならない。荒波、梶谷は「シーズン中もいい時も悪い時も自分の形を崩さないようにしたい」と口をそろえた。この意識をまっとう出来れば、今年のDeNAはひと味違う打線になる。【佐竹実】

 ▼DeNAのオープン戦データを昨年と比較すると、攻撃力が格段に増している。昨年は17試合で42得点。1試合平均2・47点しか取れなかったが、今季は4・35点と76%アップ。特に長打力が大幅に上がり、昨年は3本で12球団中10位だった本塁打が今季は1位の17本。昨年は本塁打を複数本放った打者がいなかったが、今季はブランコ4、荒波3、梶谷2、高城2、ラミレス2と5人もいる。昨年は3点差以上の逆転勝ちがなかったが、今年はこの試合で2試合目となる。