<オープン戦:広島5-4ソフトバンク>◇24日◇マツダスタジアム

 ソフトバンクの新外国人ブライアン・ラヘア内野手(30=カブス)が“1本締め”で開幕4番に接近した。開幕前最後のオープン戦の6回に広島中崎から右翼席へ2号ソロ。チーム最高打率3割4分5厘を残した左の長距離砲が、死球の影響が残るペーニャに代わる4番を務める可能性も出てきた。29日に楽天戦で迎えるシーズン開幕戦へ、V奪回の準備が整った。

 ホームで出迎えた鳥越内野守備走塁コーチの両手を力いっぱいひっぱたき、ほえた。普段は物静かなラヘアの感情表現こそ開幕へのゴーサインだった。「ここ2日間は良くなかったけど、最後にいい形で強く振れたね。いい感じでシーズンに臨めるよ」。無理もない。直前3試合で11打数8三振とバットが湿った。「気持ちが乗らず、ボールが良く見えていなかったけど、今日は見えたね」。

 6回2死。カウント2-2から中崎の内寄りベルト付近の球を引きつけ、体をコマのように回転させた。ラインドライブのかかった打球をパワーで右翼席へ押し込んだ。2回にも前田健から二塁内野安打を放ち、マルチ安打。オープン戦打率は12球団4位の3割4分5厘で左打者ではトップの数字を残した。「日本の投手はレベルが高く、球種が多く、慣れるのが大変」。言葉は控えめでも、日本球界にスムーズに適応している。

 昨年チーム総得点はリーグ5位の452に終わり、攻撃力アップの起爆剤として球団はライバルとの争奪戦を制して獲得した。昨年のラヘアはメジャーで打率2割5分9厘、16本塁打、40打点。球宴にも初出場した売り出し株に、2年450万ドル(約3億6000万円)の資金を投入した。キャンプから強い重圧を受けながら結果を示してきた。

 左手首に死球を受けたペーニャが3試合連続で欠場。開幕には間に合うもようだが、ここ6試合で4番の適性検査を受けたラヘアについて、藤井打撃コーチは「(4番も5番も)どちらもできるということは分かった」と評価。オープン戦中盤までと順番を入れ替え、4番ラヘア、5番ペーニャという青写真も浮かび上がってくる。

 13年型打線の中心に左右の舶来砲を据え、前後を3番内川と6番松田のWBC組が務める、ゴージャスな中軸。同じく侍ジャパンの本多がリードオフマンを務め、オープン戦6発で本塁打王の柳田は下位から柵越えを狙う。相手投手に息つく間を与えない、破壊力あるオーダー。V奪回の下準備はできた。【押谷謙爾】