<ソフトバンク1-3楽天>◇30日◇ヤフオクドーム

 下半身から変身を遂げた。楽天牧田明久外野手(30)が、決勝2ランを放ち、チームに今季初勝利をもたらした。同点の4回無死一塁から左翼席最前列へ飛び込む第1号。7回1失点と好投した先発のブランドン・ダックワース投手(37)を援護した。昨季終了後、左手首痛を発症して秋季キャンプに参加できなかったが、リハビリ期間中に下半身を強化。開幕戦の9番から5番に昇格した2戦目で、その成果を見せつけた。

 迷いのない力強いスイングだった。4回無死一塁、牧田は「併殺を恐れず、当てにいかないで思い切り振ろうと思っていた」と、バッターボックスの地面にしっかりと左足を踏み出した。筋肉質の下半身を土台にして、腰を鋭く回転。135キロの内角直球を捉えた打球は「詰まったと思ったけど届いてくれて良かった」と、予想以上の飛距離で左翼席最前列へ。開幕戦の9番から5番に昇格し、1発で期待に応えた。

 見た目でもはっきりと分かるほど変身を遂げた。昨年シーズン終了後、左手首痛を発症。秋季キャンプに参加できず、2軍で1カ月以上リハビリを続けた。上半身の動きはほとんどできないため「今までは上半身のウエートしかやってこなかったけど、下半身もやるようになった」と下半身の筋力強化に着手。短距離中心のランニングに加え、スクワットなどのウエートトレーニングも週3回行ってきた。その結果、太ももがむっちり。太もも回りは昨年より5センチも太くなった。

 下半身ががっちりしたことで、体はぶれなくなった。「どっしりと構えることができている」と牧田は話す。本塁打でなくても手応えを感じたのが5回の第3打席。ライナーが中堅の正面をついてアウトとなったが、外角のスライダーに体勢を崩されず、しっかりスイングできた。「下半身は粘れてると思う。いい当たりだったんですけどね。そういうのをヒットにできれば」と意欲を見せた。

 昨季はチームトップの9本塁打を放った。長打への期待も高いが「ホームランはいらない」と言い切る。「率(打率)を残したい。今日も狙ってないし、強く振ることだけ意識してました」と言う。星野監督は「最高のところで打ってくれたよ」と褒めた。地に足がついている牧田は心強い。【斎藤庸裕】