<DeNA5-4ヤクルト>◇4月30日◇横浜

 DeNA中村紀洋内野手(39)が、逆転勝ちを呼び込む2安打を放ち、2000安打まであと6本とした。1点差に迫った6回、20試合ぶりの3号同点ソロ。8回には中前打で出塁し、勝ち越しに貢献した。前夜は大敗で今季初めて最下位に転落。嫌なムードが漂う中、連敗を2で止めて5位に浮上した。

 右翼フェンスを越えた打球を見届けると、中村は高々と右手を上げた。ブランコの2ランで1点差とした6回。外角低めの速球を逆らわずにはじき返した。7日のヤクルト戦以来、71打席ぶりの3号ソロ。「スコアラーさんからはボール球ですよ、と言われたけど、低めを打ってスタンドに持っていけた。まだまだいけるって自信になるね」と、手応えをにじませた。

 5番を任されているからこその1発だった。前を打つのは打点と本塁打でリーグトップを独走するブランコ。「よく打つから歩かされないようにしないと。(ブランコと)勝負してもらえるように、自分が打っておかないといけない」。自分が打てば、相手は簡単に主砲を歩かせることはできなくなる。「打順にこだわりはない」と話すが、打率3割6厘、打点8の中村が、ラミレスに代わって5番に座った5試合は打率4割、3打点。勝つための強い覚悟を結果が示している。

 最優先に考えるのはチームの勝利。そのために「まだまだ働ける」という決意を持って、21年目に臨んだ。しかし開幕はベンチスタート。その悔しさをぬぐってくれたのは中畑監督だった。「監督から『辛抱してくれ』と言ってもらってね。あの言葉は大きかった」。腐ることなく練習し、筒香らを押しのけて、三塁スタメンの座を勝ち取った。

 勝ち越し点につなげた8回1死からの中前打で、日本での2000安打まで残り6本。日米通算では1999安打となった。この一打も「何とか1点とるために、何でもいいから塁に出よう」と考えての結果。「勝つことがこのチームにとって一番の薬になるから」。負けに慣れた雰囲気を打破するにはまず勝つこと。中村は、最高の“薬”を呼び込むために安打を重ねる。【佐竹実】