<日本ハム2-6楽天>◇9日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(18)には、胸躍る打席だった。6回2死三塁。マウンドには同じ東北出身で、メジャーでも活躍した楽天斎藤がいた。25歳上の先輩が投じた3球目。高めの143キロを、左中間へ強引にはじき返した。「(2球目の)真っすぐを空振りしていたので変化球が来るかな?

 と思っていたら、甘い球が来た。しっかり対応できました」。持ち前の柔軟な打撃で、ベテランの失投を仕留めた。

 メジャー挑戦まで考えた大谷は、メジャーで活躍する日本人選手に尊敬を抱く。もちろん「斎藤隆」の名前も、ニュースなどで何度も目にしてきた。メジャー通算84セーブを誇る右腕に「ニュースにも出ていたし、すごいなと思って見ていました」と、羨望(せんぼう)のまなざしを送っていた存在だった。

 6回の守備ではプロ初補殺も記録した。1死一、三塁から飛球を捕ると、ノーステップで中継に入った一塁手のホフパワーへクイックで軽~く“剛速球”を返球。「(打球に対して)もう少し後ろから入れたら1人でも行けたと思うんですけど」とレーザービーム披露とはならなかったが、右-一-捕のダブルプレーでしっかりと追加点を阻止した。

 攻守ともに奮闘したが、喜んでもいられない。大谷が1軍に再昇格した4日から始まった連敗は、ついに5に。「ちょっと、まずいなと思います。チームの状態が悪い時こそ、元気を出していくのが大事だし、若手の仕事」。チームのムードを変える活躍も期待される。【中島宙恵】

 ▼大谷が二塁打を2本放ち、3度目のマルチ安打。2本目は走者三塁で、得点圏での大谷は6打数3安打の打率5割となった。高卒新人が1試合2本の長打は、06年3月29日炭谷(西武)がソフトバンク戦で本塁打を2本打って以来、7年ぶり。日本ハムの高卒新人では、東映時代の59年8月26日張本が南海戦で二塁打2本を記録して以来、54年ぶり。