<西武5-1阪神>◇20日◇西武ドーム

 とめておくれよ新井さん…。いやあ野球は怖い。4回のピンチ。何ちゃない二ゴロで脱出のはずが、一塁新井貴浩内野手(36)が捕球できず先制点を許してしまった。そこから3連打に暴投もからんで一挙に5点を失うとは、何とも手痛い失策となった。無敵8連勝中だったビジターゲームは自滅でストップ。リードオフマン西岡も脚部に不安を抱えているようで、虎が走るに走れない。

 皮肉なナイスカバーになった。4回だ。2死一、二塁で西武永江は平凡な二塁ゴロだった。誰もがチェンジで5回へ…と思った。先発スタンリッジも一塁ベンチへ戻っていった。ところが、弱めの打球に合わせた西岡がジャンピングスローした。一塁新井は不意を突かれ、タイミングがずれて右側の送球をつかめなかった。まさかの先制点献上。悪送球は、ベンチ前でぼうぜんとする右腕の元へと転がってきた。

 新井

 しっかり捕らないといけない。自分の責任。あれで流れが全部向こうにいってしまった。みんなに申し訳ない。

 連日のマルチ安打で打率を3割に乗せた。5月は大当たりの5番打者は、ただ反省するばかりだった。助っ人右腕が、ここから3連打を浴びるなど5失点。西岡は「ミスはあるでしょう」とかばったが、言い訳にしようのない痛恨の適時失策だった。

 久慈コーチ

 投げた方も投げた方だし、カバーできるものはカバーしないと。あのプレーで流れが変わった。エラーとはそういうもの。(新井は)グラブに当てているなら、カバーしてやらないと。

 8連勝中の敵地でも、さすがにダメージ大だった。自滅で与えたスコアボードの「5」が、回を追うごとに精神的にズシリと迫ってくる。5回以降は救援陣が奮闘し反撃態勢をとったが、先頭が出た2回と8回はいずれも次打者が併殺打となる悪循環。最終回は1死一、三塁からコンラッドの併殺で終わった。ほころびのなかった西武に対して、守り負けした。

 和田監督

 守りで負けるのは、おもしろくないな。ああいうプレーから流れがガラッと変わってしまった。セカンドの捕り方を見てれば、ある程度は予測できた。いつも言っているように準備と備えがあれば。

 現役時代に二塁手でゴールデングラブ賞を3度受賞した指揮官には、悔しさ倍増の負け戦になった。貯金は7と余裕はあるが、巨人にゲーム差1・5に迫る好機を逃した。惜しまれる守乱での黒星。小雨が屋根をうつ西武ドームは、虎党のため息だけが渦巻いていた。【近間康隆】