<オリックス0-2阪神>◇1日◇京セラドーム大阪

 男たちのYAMATOだ!

 悩み、苦しみ、9番に降格した阪神大和内野手(25)が大爆発した。7回2死二、三塁。ここしかない、というチャンスで、ここしかないという三塁線突破の決勝2点二塁打だ。和田監督、先輩選手の激励が身に染み、内野安打1本に涙した男が、大不振を脱出する3本の二塁打。中でも一番身近な先輩西岡には「つよぽん」と呼びかけて感謝感激?

 した。

 誰がこの苦しみを分かるのか。クールな大和が、ありったけの感情を爆発させた。三塁線を破る白球を見届けると、言葉にならない絶叫で一塁ベースを一気に駆け抜けた。二塁で右拳を突き上げる。無得点の7回2死二、三塁。金子に追い込まれてもフルカウントに持ち込み、チェンジアップを思い切り引っ張った。

 「つよぽん(西岡)が、打席に立つ前に『悔しさを晴らしてこい!』とアドバイスをくださり、とても勇気づけられました」と喜びを表した。明るさが戻った。ヒーローインタビューでも真顔で「打席に入る前に、つよぽんが『気楽に行け!』と言って…」と年上の西岡をニックネームで名指しする“無礼講”のはしゃぎぶりだ。

 最近9試合は44打席で1安打。試合前まで18打席連続で無安打だった。打順は初めて2番から9番に降格したが鮮やかにモヤモヤを吹き飛ばした。つよぽんも「興奮していたんじゃないですか。今度会ったら、シバイときます」と笑顔だった。

 大和は西岡の背中を見て育った。実は1年前から「西岡」に出会っていた。まだ兄貴分が米大ツインズ3Aでプレーしていたころだ。大阪桐蔭の後輩・西田が持っていた西岡モデルのバットを偶然握ると一目ぼれ。以来、理想として自身のバットに取り入れ、いまも用いる。「野球の手本だと思ってやっています。打つこと走ること。すべてにおいて。いろいろアドバイスをもらってます」。そして同じチームでプレー。運命に引き寄せられるように1、2番コンビを組む。

 誰もが通る「レギュラーの壁」を破った。5月30日。甲子園の室内練習場で汗だくの和田監督から直接指導を受けた。これで眠れない夜ともおさらばだ。3回に当たり損ねの飛球が右前にポトリ。5回に今度はフラフラと上がった打球が右翼線にポトッと落ちる。3本の二塁打で元気を取り戻した。「気持ちに余裕が出て(7回も)いいイメージで打席に入れた。9番に落ちて悔しいし、9番で使ってもらって応えたい気持ちもあった」。苦悩した、その先に希望がある。打って再び2番へ。逆境を乗り越えた大和がまた少し大きく映った。【酒井俊作】