日本ハムの「二刀流」ルーキー大谷翔平投手(18)が、新人王獲得へ意欲を見せた。10日、今日11日のイースタン・リーグ巨人戦(鎌ケ谷)での登板に向け、千葉・鎌ケ谷で調整した。投手で2試合に先発し、野手でも規定未到達ながら打率3割3分3厘をキープ。投打両方をこなすため、選考されるための“数字設定”に戸惑いを吐露しながら、1度しかチャンスのない新人王を目標に掲げた。

 二刀流ならではの悩みを抱えていた。今日11日のイースタン・リーグ巨人戦(鎌ケ谷)へ向け、キャッチボールなどで最終調整を行った大谷が、素直に疑問を口にした。「どういうことで取れるか分からないですけど…」。ルーキーの勲章でもある新人王の話だ。投打両方をこなすため、ライバルとの単純比較は難しい。「できれば取りたい」と目標に掲げたが、獲得に値する明確な成績がよく分からなかったからだ。

 新人王は、セ・パ両リーグから、その年の最も優秀な活躍をした有資格者に贈られる表彰のひとつで、記者投票によって決められる。数字だけで選ばれるわけではないが、基本的には勝利数や登板数、あるいは打席数や打率が高かった選手が獲得するのが通例だ。

 パ・リーグでは現在、楽天則本とロッテ西野がともに6勝を挙げており、2人が頭1つ抜けている状況。野手では開幕当初はレギュラーとして出場していた西武金子、3本塁打を放っているオリックス山本らが候補に挙がる。大谷は肉体的な負担を考慮され、登板前日や翌日の出場は見送られており、他の選手たちに比べて出場機会が少なくなるのが現状だ。

 一方で、出場23試合にとどまっているとはいえ、2度の先発登板で1勝をマークし、打者としても打率3割3分3厘、10二塁打という数字は“合算”すれば高い評価に値する。単純な比較ができないからこそ「まずチーム自体が勝たないと。勝利に貢献することが一番大事。まだ打点も少ないし、チャンスメークもできていない。大事なところで1本打たないと」と、さらに上を目指していくつもりだ。

 栗山監督は「本当は20勝して規定打席に立つのがいいけど、それは最後の野望。一生懸命やっていることが評価されれば賞につながるだろう」と話し、「球宴のファン投票で両方ともあれだけ票が入るというのは、子どもたちに夢を与えている。勇気や元気を(与えていることを)評価してくれれば」と“プッシュ”した。【本間翼】

 ◆新人王資格

 支配下登録後5年以内で、投手は前年まで通算30イニング、打者は60打席以内の選手が対象。当該年度の規定打席、規定投球回の到達は条件になく、野手の新人王は過去39人いるが68年高田(巨人)74年藤波(中日)76年田尾(中日)83年二村(日本ハム)84年藤田(阪急)98年小関(西武)09年松本(巨人)の7人が規定打席未満で受賞している。