阪神のルーキー藤浪晋太郎投手(19)が交流戦のラストを締めくくる。11日は北海道に移動。交流戦最終戦の16日楽天戦(Kスタ宮城)に先発し、楽天のエース田中との初対決が確実となった。交流戦逆転優勝の可能性もある一戦。台風が接近しており、雨天中止となってもプロ初のスライド先発になる見通し。同じ高卒で1年目から活躍したマー君は憧れの存在。ドンとぶつかり、チームの勢いも加速させたいところだ。

 好調だった交流戦のフィナーレを藤浪に託す。同一リーグ戦再開を控え、チームの勢いを加速させるためにも重要な一戦になる。先発予定の16日の楽天戦を勝って終わり、弾みをつけたいところ。目下の敵は台風3号だ。日本列島に接近しており、中西投手コーチも表情を曇らせる。「中止になったら、したくはないけど、せざるを得ないかな…」。16日が荒天で中止になれば、藤浪がプロ初のスライド先発する方針だ。

 開幕ローテーションに入り、これまで日曜日に先発し続けてきた。規則的な流れが初めて崩れる。だが、リーグ戦再開を見据えて、すでに先発順をシミュレーションしている。雨天中止なら、17日以降20日までの予備日のいつ、試合を組み込むか流動的だが、藤浪を先発させることでローテーションの狂いは生じにくい。球数制限の撤廃、そしてスライド先発…。6月に入り、1歩ずつプロの先発として経験値を高めている。

 藤浪にとって、新たな発奮材料もある。16日に投げ合う相手は球界のエース田中が確実で、野球ファン必見の注目対決が実現する。前日10日にも「球界を代表する投手ですし、尊敬する投手の1人。プロのトップでやられている方から何か1つでも学べればと思います」と話していた。

 藤浪は昨年、甲子園で春夏連覇を達成。田中も駒大苫小牧時代の05年夏に優勝投手となった甲子園のスターだ。しかも、高卒1年目から11勝をマーク。共通点は多く、憧れを抱く。直接対決は、これ以上ない刺激になる。

 この日は休日を過ごし、北海道に入った。3月31日のヤクルト戦(神宮)で負けたあとは黒星とは無縁で4連勝中だ。阪神の高卒新人では86年遠山以来の5連勝を狙うマウンドになる。状況次第では、交流戦優勝がルーキーの右腕に託される可能性もある。胸すく快投で、虎をさらなる高みへと押し上げたい。【酒井俊作】