<オリックス1-7巨人>◇12日◇京セラドーム大阪

 ボールがバットの芯を食った何よりの証拠だった。巨人長野久義外野手(28)が、京セラドームの高い天井でこだまする心地よい反発音を、4度も響かせた。10試合ぶりに座った1番で4安打。中盤以降の3打席でいずれも打点を挙げた。今季3度目の猛打賞でリードオフマンの仕事を全う。「たまたまです」の決まり文句も久しぶりだった。

 統一球問題で、試合前から落ち着かない雰囲気だった。長野は素直だった。「ボールが飛べば打者には有利、と単純に思えるんですが…」とつぶやいた後「今の僕の立場で、何か言える問題ではないとも思っている。与えられた環境の中で、一生懸命やるだけです」と続けた。

 打感の変化を、不調の言い訳にする気などない。ただ「今の、正確なボールの反発係数が知りたい。統一球以前と比較してどうなのか。昨年と比べてどうなのか」と訴えた。飛距離の異なるボールで、1年目から新人王、首位打者、最多安打とタイトルを獲得してきた。繊細な好打者の、精いっぱいの主張だった。

 中堅を中心に、初対戦の投手をセオリー通りに崩していった。第4打席の初球。外寄りのスライダーを「しっかりと振り抜けて」、バックスクリーンに運んだ9号ソロ。原監督をガッツポーズさせ「最後が一番良かった」と本人も納得した、8回2死満塁での左前適時打。高い技術があれば、ボールの反発係数など関係ない。長野がキッチリと証明した。【宮下敬至】