<DeNA0-5ヤクルト>◇2日◇平塚

 キングの称号は譲れない。3年連続本塁打王を狙うヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が8回にダメ押しの26号2ランを放った。同数で並んでいたブランコに1本差をつけ、今季初の単独トップに躍り出た。自身29歳の誕生日でもあり、試合前には「小川監督にホームランをプレゼントする」と予告。有言実行を果たし「バースデーでいい結果を出したことがなかったのでうれしい」と誇らしげに言った。

 開幕は故障で出遅れ、キング争いで独走したブランコに最大10本差をつけられた。6月に11本塁打を放って追いつき、この日は目の前で追い越し「トップになったのはいいこと。シーズンはまだ半分以上ある」と意に介さない。ブランコとはライバルというより、互いを高め合う存在。試合前の練習時にマイケル・ジャクソンの曲がかかると、足を交互に滑らせる“ムーンウオーク”を披露し、相手ベンチから見学していたブランコに向かってポーズを決め、爆笑し合った。

 フォームに修正を加えた。ぎりぎりのコースで勝負されるケースが多いため「今年は始動を早くしてボールを長く見るようにしている。ボール球の見極めがよくなった」と効果を実感。見逃しで2三振していた際どい内角直球を、4打席目に一振りで仕留めた対応力も光った。統一球が導入された11年から通算88発は両リーグトップ。シーズン50発超のペースでブランコと量産中だが「今は1つでも順位を上げるために打ちたい」。頼みの1発が、最下位に低迷するチームを押し上げる。【柴田猛夫】