<巨人2-0DeNA>◇7日◇東京ドーム

 巨人中井大介内野手(23)が決勝弾で七夕の勝利をつかんだ。4回2死二塁で、DeNAのエース三浦から左翼ポール直撃の2号2ランを放った。1番に座り、三塁打が出ればサイクル安打という猛打賞の活躍で若き“巨人の星”が輝いた。先発杉内俊哉投手(32)も8回2安打無失点と完璧な内容で7勝目を手に入れた。

 中井はその瞬間、心の中に短冊を書いた。「切れないで、と願った」。4回2死二塁。三浦の抜けて内角を襲ったフォークを体の開きを抑えながら、捉えた。願いを込めた打球はフック回転がかかりながらも、切れずに左翼ポールを直撃。「もう1回と言われても同じように打てないかも」。プロ6年目、通算3本塁打目は「早く打ちたかった」と待望していた東京ドーム初アーチとなった。

 躍動感あふれる新星を、チームは待っていた。正二塁手は長らく不在。その座を1番という切り込み隊長を4戦連続で任されながら、つかみつつある。この日も能力に戦略を加味させた。「1打席目は三浦さんが多く投げるスライダーを打って、2打席目は直球。だから3打席目はフォークを頭に入れていた」と根拠ある打撃論を振り返った。

 おちゃめな先輩も活躍を願ってくれた。1打席目に入る直前、普段と違う登場曲が流れた。SPEEDの「Wake

 Me

 Up!」。訳せば「起こして!」という歌詞に苦笑いした。6月中旬の練習に寝坊して遅刻。2軍降格を食らい、再昇格までに約2週間を要した。その事件へのイジリには4戦連続初回出塁となる中前打で応えた。「練習で尚広さん(鈴木)が冗談で言っていたら本当に曲を替えられた」。鈴木はサプライズの裏を明かした。「1番だから打線を引っ張って、いい意味で目覚めてほしいから。でもオレは謙次(矢野)に話して、あいつが替えた。オレは楽曲提供だけ」と笑った。

 中井には夢がある。「由伸さんと一緒に1軍の試合で活躍したい」。自主トレをともにする先輩は07年に35本塁打をマークしたのが1番。サイクル安打を逃した後輩は「僕は足が遅いから1番という感じじゃない」と苦笑い。だが「積極的にファーストストライクを狙いたい」という姿勢は高橋由と共通するものがある。“1番星”で、すてきな夢をかなえ続ける。【広重竜太郎】