<ロッテ1-6西武>◇21日◇QVCマリン

 西武十亀剣投手(25)が、約1カ月半ぶりの7勝目を完投で飾った。負ければ優勝争いから大きく遠ざかった2位ロッテとの一戦で4安打1失点の力投。最速148キロの直球とシンカーで的を絞らせなかった。7月6日から勝てず、酷暑のなかで走り込むなど調整法や道具も一新。先発陣から菊池、涌井と離脱するなか、昨年のドラフト1位が逆襲のキーマンになりそうだ。

 完封を逃してからが、十亀の成長だった。6点リードの9回2死一、二塁。三ゴロを林崎がトンネルして初失点した。その直後、十亀は二塁けん制球で走者を刺し、冷静に試合を締めた。「アウトをとるのはバッターだけじゃない。けん制やフィールディングについては、いろいろ言われてきたので。完封はしたかったけど、今度林崎にかえしてもらいます」と味方のミスを笑いに代えた。

 課された“宿題”にきっちりこたえた。前回登板ではボークで失点するなどミスを連発し、渡辺監督から「投げる以外は中学生レベル。野球以前の問題」と酷評されていた。この日は冷静なマウンドさばきが光り、指揮官も「久しぶりにピッチングが楽しかったんじゃないかな。彼にはフィールディング、カバーや投げる以外の注文をつけてきたけど、今日はすべての面がよかった」と合格点だ。

 7月6日に6勝目を挙げて以来、5試合で勝ち星から遠ざかっていた。流れが悪く「やることを全部変えました。着るもの、はくもの、使うもの、気持ち、調整…。ランニングの量も増やした。しんどいけど、何かを変えないと。やるしかないんです」と必死だった。猛暑のなか練習量を抑えるのではなく、逆に体をいじめ抜くことで、ボールがキレた。この日の最速は148キロをマーク。いつもは制球に苦しむ右打者へのシンカーもおもしろいように決まった。

 約1カ月半ぶりの白星は、崖っぷちのチームにも救いだった。2位ロッテとの3連戦初戦を前日は涌井で落とし、優勝争いから脱落寸前だった。この日は上位3チームがそろって敗れ、価値ある1勝となり「是が非でも勝たないと上にはいけないので」と十亀。中継ぎへの配置転換が決まった涌井がブルペン待機するなか、タフさが売りの2年目右腕が先発の柱に名乗りを上げた。【柴田猛夫】