<ヤクルト6-3巨人>◇21日◇神宮
ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が技ありの2本塁打で連敗を5で止め、巨人のマジックも消した。1本目は高めのつり球を強振しての先制2ランで、2本目は体勢を崩されながらも左翼ポール直撃弾。左アキレスけん痛を抱えながらも、追い込まれてから足の上げ方を変えて生んだ2アーチで、球団最多記録の44本塁打に並んだ。チームは最下位ながら、日本記録の55本を超える年間60本ペースだ。
体は完全に前に突っ込んでいた。だが、バレンティンには関係なかった。5回。カウント2-2から巨人高木京が投じたのは109キロカーブ。直球をイメージしていただけに、完全に泳がされた。「でも、焦ったりしなかったよ。カーブの軌道は残っていて、芯に当てることだけを考えていた」と真芯ですくい上げると、左翼ポールを巻くように直撃した。池山打撃コーチが「すごい反応だよ」と驚く技ありの1発で、巨人の追い上げムードを断った。
この日の2アーチには、工夫が施されていた。本塁打を打ったカウントは、1本目が2ストライク、2打席目は2-2。追い込まれると、左足をすり足に変えていた。「状況は投手によって、自分なりに感じた方をするんだ」。打席に入る前には英語で書かれた相手投手の資料に目を通し、打席で再確認。その上で、追い込まれると確率が上がる方法を選んでいる。
ボールが飛ぶようになったことも味方している。「芯に当てることに集中しているんだ」と、大振りをしなくても本塁打を打てるという自信も加わった。1本目は巨人宮国の高めつり球を「打てる範囲に来たらいこう」とミートし、左翼席中段まで持っていった。2本目も「足を上げてしっくりこなかった」と、カーブを意識してすり足にしたからこその一撃だった。
目標の1つに到達した。44本塁打は99年ペタジーニ、04年岩村の球団最多記録タイ。「スワローズで2人しか達成していない記録に並ぶことができて大変光栄に思う」と喜んだ。「アシタ!」と2試合連続弾で新記録樹立を誓い、55本塁打の日本記録にも「達成できればいいね」と笑った。
そんな笑顔も、チームの話題になると消えた。巨人のマジックを消して連敗を5で止めたが、順位は最下位のまま。「他はどうあれ勝つしかない。3位はあきらめない」と言った。左アキレスけんは痛むが「明日も頑張ります」と力強い言葉で締めた。【浜本卓也】



