<巨人5-3阪神>◇28日◇東京ドーム

 痛すぎる連敗にダメージと不安が重なった。左膝手術から復帰後、虎をよみがえらせた福留孝介外野手(36)が、また戦線離脱の危機に立った。4回に日本復帰後初、7年ぶりの巨人戦弾で同点に追いついた。中堅守備でも快足を飛ばして好捕していたが6回に中前打を放つと代走俊介が送られた。ふくらはぎを痛めた模様で、病院に直行した。大逆襲に欠かせない戦力が、このまま消えてしまうのか…。

 しびれるようなライバルとの大一番の途中に、非常事態が発生した。6回、中前打を放った福留は一塁へ到達すると、ベンチへ向かった。「代走俊介」。2点を追う展開で、この日、本塁打を放っている主砲を下げるということは考えられない。福留はベンチで顔をしかめていた。

 数十分後、福留は足を引きずりながらロッカー室を出てきた。5月に手術した左膝の故障かという問いには「ううん。肩」とはぐらかした。痛めた場面を問われても「別に…」と多くを語らなかった。トレーナーに付き添われて、まだ試合中の東京ドームを後にすることが、深刻さを物語っていた。

 絶対に負けられない直接対決第2戦。序盤の苦しい展開で、反撃ののろしを上げたのは福留だった。4回2死一塁、巨人宮国のフォークをとらえた。弾丸ライナーが右翼ポールを直撃した。

 「追い込まれていたけど、後ろの打者につなごうという意識があったから、低めのフォークにも対応できたと思います」

 同点の6号2ランで試合を振り出しに戻した。2点を勝ち越された5回、なおも2死二塁のピンチでは、坂本の左中間を抜けようかという打球に対し、最短距離を駆け抜けてランニングキャッチ-。攻守に渡ってチームを鼓舞し続けた。その矢先の故障発生だった。

 和田監督は福留交代について説明した。

 「ちょっと強い張りを訴えてね。足は足やけど…」

 左膝の故障再発は否定した。さらに、ふくらはぎの故障かという問いには「うん、うん。手術したところではない」と話した。古傷再発という最悪の事態は回避できたようだが、状況から判断して戦線離脱の可能性は高そうだ。

 福留は今月13日に復帰後、徐々に打撃の状態を上げてきた。ここ8試合連続で安打。守備では大和が離脱した中堅もこなした。横浜、ナゴヤドーム、東京ドームと人工芝での試合が続き、中堅スタメンは3試合連続。膝への影響についても「ここまできて、そんなことは言ってられない」とチームの勝利だけを見据えてきた。和田阪神にとっては、連敗と福留離脱のダブルショックに見舞われた。【鈴木忠平】

 ◆福留の離脱と復帰

 5月3日ヤクルト戦で2打席に立って途中交代。4日同戦から欠場し、8日に出場選手登録を抹消した。左膝の手術を経て、8月13日広島戦から復帰。離脱期間は34勝28敗1分けで勝率5割4分8厘。福留が戦列にいる間は28勝19敗1分けの勝率5割9分6厘と上がっていた。