<阪神2-1広島>◇8月31日◇甲子園
熱いものがこみあげた。阪神加藤康介投手(35)が甲子園で初めてお立ち台に立った。その感慨を聞かれると、目が潤んだ。
「ぐっとくるものはあります…」
そう言うと、言葉につまった。熱いものがこぼれないように必死で空を見上げた。苦節12年。今や猛虎リリーフ陣を支える左腕の男泣きだった。
圧巻の仕事だった。1点リードの8回、マウンドを託されると広島のクリーンアップに対した。丸とキラを切れ味抜群のスライダーで、そして、梵も外角いっぱいのスライダーで3者連続三振に斬った。
「点差も、点差ですし。あそこは三振で抑えないと。とにかく3人で切ってくれと言われました」
ドラフト2位のプロ入りから2年で20勝を挙げた。だが、そこから2度の戦力外通告、故障など苦しんだ。どん底だった過去が脳裏をよぎった。
「つらい時を思い出してしまった。ぐっときたなというのはあった…」
くしくもこの日は自己最多に並ぶ49試合目の登板。天国と地獄を味わった男にとって、復活を告げる記念のマウンドだった。



