<楽天4-3西武>◇3日◇Kスタ宮城

 「燃える男」の一振りが、楽天に勝利をもたらした。1-3の8回2死一、三塁で、ケーシー・マギー内野手(30)が西武涌井から左翼へ23号3ランを放ち、試合をひっくり返した。2回には自らの失策が先制を許す3失点につながったが、ミスを取り返した。チームの連敗は2でストップ。マジック再点灯こそ、お預けとなったが、終盤の逆転勝ちで楽天に勢いが戻った。

 名誉挽回のチャンスに、マギーは奮い立った。2点を追う8回2死一、三塁。西武涌井に2球で追い込まれたが「ホームベース上に来た球を強くたたくだけ」と気持ちをギュッと固めた。3球目。抜けたフォークを捉え、左翼席へ放り込んだ。ダイヤモンドを1周し、出迎えたジョーンズと両手でハイタッチして喜びを分かち合った。

 自らのミスで、序盤の流れを失った。2回2死一、二塁で、炭谷のゴロをはじいた。「待って捕るか、前に出るか、迷ってしまった」。満塁を招き、続く鬼崎が二塁打。先制を許す3失点につながった。3回にも、浅村のゴロに手が付かなかった。こちらは失点にはつながらなかったが、メジャーで500試合以上、プレーした男が浮足立った。それでも「失敗を取り戻すんだと、強い気持ちを持った」との言葉どおり、最高の形で取り返した。

 かつて「燃える男」と呼ばれた星野監督のように、気迫を前面にプレーする。負け試合にベンチ裏まで響く声で悔しがったこともある。8月後半の5連敗中には、星野監督に「これからが大事です」と熱く訴えた。身ぶりを交え、若手へのアドバイスも惜しまない。単なる助っ人ではなく、チームの核となった。

 底にあるのは、ミスにもへこたれないメンタルの強さだ。それを可能とする理由を問われ「経験に尽きる。メジャーでは5万人を超える観衆の前でミスしたこともある。そういう時は切り替えが大事。取り返せなかった時もある。ただ、数多くのミスが、幸いにも糧となり、今の自分があるんだ」と答えた。過去の失敗から逃げない姿勢が、マギーという男をつくった。

 その過去には、苦労もあった。昨季は名門ヤンキースでプレーしたが、メジャー4球団を渡り歩いた。メキシコでプレーしたこともある。いろいろな球団に求められた結果だが、言い換えれば、どの球団でもレギュラーに定着出来なかった。だが、その経歴から目を背けない。米国の自宅の一室。マイナーやメキシコ時代も含め、所属した全チームのユニホームを展示している。「僕はそこにいたんだから。子どもたちが大きくなった時、証拠として見せられるしね」と、むしろ誇らしげに言った。

 星野監督は「この勝ちは大きい。エラーして、チャンスに凡退すると落ち込むのは日本人の悪い癖。マギーはお手本だ」と、ねぎらった。首位とはいえ、3連敗なら嫌な流れに、はまるところだった。信頼おける主砲の働きで、再び上昇気流に乗った。【古川真弥】