<阪神1-4巨人>◇7日◇甲子園

 CS一番乗りだ!

 7日の阪神戦に勝利した巨人はシーズン3位以上が確定し、クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。制度が導入された07年から、7年連続でポストシーズンに歩を進める。相手先発の藤浪に対し、4回に村田修一内野手(32)が逆転2ラン、5回に長野久義外野手(28)がダメ押し2ランを放ち、甲子園球場で無敗を誇ったルーキーに格の違いを見せつけた。優勝へのマジックは14となった。

 巨人が誇る2人の右のスラッガーが、怪物ルーキー藤浪の甲子園不敗神話を終わらせた。4回無死一塁。村田が肩口から入った136キロのカットボールを小さく畳むような一振りで力を集約させた。甘く入った球を見逃さず、7戦ぶりの23号逆転2ラン。直前に死球を受け、もん絶した阿部を悠々と生還させた。「痛そうだったので何とかかえしたかった」と、おとこ気を見せた。

 藤浪には8月4日の初対戦で6回無得点に抑えられた。プレートの一塁側に立ち、197センチの長身を右打者の方へ向かってくるようにクロスステップする投法は威圧感を与える。この試合前まで、被打率は右打者が1割9分4厘で、左打者が2割8分3厘と差は歴然だった。村田は「速い球は引っ張れない。でも引っ掛かった球は左へ強い打球を打てる。追い込まれた中でコンパクトにスイングできた」と、戦略通りに失投を攻略した。

 長野は、自らの立ち位置を変えた。向かってくる藤浪との距離を取った。5回1死二塁。1打席目よりも1足分、ベースから遠ざかる。そこから左足を踏み込み、150キロ速球を右翼線ギリギリに運んだ。約25センチの立ち位置の小さな変化には「変わってないですよ。解説者の方もそう言っていたみたいですけど」と多くを語ろうとしなかった。

 遠く離れて立つ形。日大時代に、外角球を何でも追いかける傾向と内角がやや苦手というデータ担当の下級生の助言を受け入れて確立した。そこを基本形に、この日は藤浪用にアレンジを加えた。「打撃フォームは人それぞれ。僕は、そこに正解はないと思う。自分が一番打ちやすい形でいい」。今年のグアム自主トレで阿部と坂本の打撃を見ながら、ポツリと口にしたスタイルの柔軟性を体現した。

 原監督は「村田は技術的に高級なホームランだった。長野も効果的な2ラン。今日は素晴らしい日大コンビだった」と、褒めたたえた。マジックが14に減り、CSに両リーグ通じて一番乗りで出場が決定。それと同時に、藤浪を天敵にさせなかった価値ある勝利だった。【広重竜太郎】

 ▼村田が4回に藤浪から逆転2ラン。村田の逆転本塁打は横浜時代の10年9月30日阪神戦以来で、巨人移籍後は初めてだ。最近10試合の巨人は6勝2敗2分けだが、6勝のうち5勝は村田がV打点を挙げている。藤浪とは初対戦で白星を献上した8月4日以来、2度目の対戦。2リーグ制後、巨人戦初登板初勝利の高卒新人は藤浪で13人目だったが、その投手の巨人戦2試合目は0勝6敗。巨人はまだ高卒新人に初対戦から2試合続けて負けたことがない。