<日本ハム1-7オリックス>◇2日◇札幌ドーム

 グラウンドへ姿を見せた日本ハム中田翔内野手(24)に、スタンドから大きな歓声と拍手が注がれたのは、2回の守備前だった。8月21日楽天戦(Kスタ宮城)で左手に投球を受け、激痛に顔をゆがめた日から42日。左翼を守っていた村田とキャッチボールをするためグラウンドへ飛び出した背番号6は、飛び交う声援に笑顔で手を振った。戦いの舞台に戻った喜びに浸りながらも、出番はなし。それでも「信頼しているし監督の言う行動を取りたい」と、首脳陣の判断に不満は一切なかった。

 中田はこの日午前中、札幌市内の病院でエックス線検査などを受け、画像から7割程度の回復と診断された。練習では通常メニューが解禁されたが、試合となるとリスクは避けられない。「(試合に)行かせて下さい」と栗山監督に直訴した願いもむなしく、この日の出場は見送られた。「4番で(起用する)って言ったら、みんなに止められた」と、栗山監督にとっても苦渋の決断だった。

 ただ、中田はおとなしくベンチを温めていたわけではない。オリックス投手陣を攻めあぐねる中「客観的に試合を見ることができた。自分なら、こうしていたとか考えたからね」と、打席に立つ選手にアドバイスを送って、積極的に試合に参加した。

 担当医の見立てでは、今季最終戦まで出場は無理という。「でも、俺は使いたい」と栗山監督がこだわる理由は、3本差で2位につける本塁打王のタイトルが懸かっているからだ。残り3試合。実戦復帰はあるのか、ないのか。首脳陣は難しい判断を迫られている。【中島宙恵】