<パCSファーストステージ:西武15-0ロッテ>◇第2戦◇13日◇西武ドーム

 やられたら、やり返す-。西武が1日で息を吹き返し、CSファイナルステージ進出に逆王手をかけた。先発全員安打の20安打15得点の猛攻で圧勝し、対戦成績を1勝1敗とした。77年阪急を抜き、ポストシーズンの最多安打を記録。投げてはCS初登板の岡本洋介投手(28)が6安打完封勝利を挙げた。14日の第3戦で西武は勝つか引き分けで、ロッテは勝てばファイナルステージ進出が決まる。

 瀬戸際での強さは、本物だった。負ければ、シーズン終了が決まる試合を先発全員安打の20安打、15得点で大勝。ポストシーズンの最多安打記録も更新する猛打で、CSファイナルステージ進出に逆王手をかけた。渡辺久信監督(48)は「昨日、ああいう形で負けたので、何とかやり返してやろうという、気持ちが出た」と勝利に対する執念を評価。初戦で喫した10点差負けの屈辱をやり返した。

 重圧をはね返したのが、08年の日本一を知る“ナベQチルドレン”だった。1回、「みんな不安はあったと思う」と代弁した主将の栗山が先制の適時二塁打を放ち、チームに漂った切迫感を粉砕。2回には片岡がCSでは自身初アーチとなる2ランで、大勝ムードを作り上げた。渡辺監督も「序盤から集中して、非常にいい攻撃ができた」と認める一打だった。

 昨年のソフトバンクとのCSファーストステージ、この2人の名前はスコアボードになかった。ともに、ケガで離脱。2人の居場所は、西武ドームに隣接する西武第2球場だった。歩けばすぐでも、遠く感じたスポットライト。この日の試合後、栗山はしみじみと言った。「この時期まで野球ができて、グラウンドに立てるのは幸せです」。野球に飢えた、あの時に比べれば、重圧や不安も苦にならなかった。

 08年当時、20代中盤だった2人は、30歳を超えた。就任1年目、「寛容力」で日本一を勝ち取った指揮官も、6年目を迎え、時に厳しく、選手の奮起を促す。栗山は「08年以降、優勝することができなかったし、厳しくなるのは当然。厳しい中でも選手のことを本当に大事にしてくれる」と感謝の心を常に持つ。振り返れば、08年の日本シリーズも王手をかけられながら、連勝で日本一を奪取。逆転進出のシナリオが、出来上がった。【久保賢吾】

 ▼西武が先発全員の20安打で15点。プレーオフ、CSの1試合20安打は、前後期優勝チームが対戦した77年第1戦阪急の18安打を抜く新記録で、先発全員安打は09年2S第2戦巨人以来4度目。日本シリーズを含めたポストシーズンでも1試合20安打は、98年日本シリーズ第5戦横浜に並ぶ記録となった。ポストシーズンの1試合15点以上は4度目で、完封試合としては03年日本シリーズ第2戦ダイエー13-0阪神を抜く最多得点だ。5イニング連続得点は、01年日本シリーズ第2戦でヤクルトが2~6回にマークして以来2度目のタイ記録。初回から5イニング連続得点はポストシーズン史上初めての猛攻だった。