中日が西武片岡治大内野手(30)の獲得調査を進めていることが分かった。荒木、井端の後継者問題が解消されておらず、二遊間を守れる即戦力選手の補強は今オフの課題。そこで今季国内FA権を取得した片岡に白羽の矢を立てた。片岡本人は権利行使の態度を明確にしていないが、宣言すれば獲得に動く見込み。谷繁元信兼任監督(42)のバックアップへ落合博満GM(59)が戦力補強を進める。

 落合新体制となった中日が、補強作業にも本腰を入れる。西武片岡の獲得調査を進めていることが判明した。ベテラン荒木、井端の後継者問題が解消されておらず、1、2番を打てて二遊間を守れる即戦力野手をリストアップ。白羽を立てているのが、今季国内FA権を取得した片岡だった。

 西武不動の1番として、08年に最多安打とベストナインを獲得するなど日本一に貢献。07年から4年連続盗塁王にも輝き、パ・リーグでは福本豊以来となる3年連続50盗塁以上をマークした。主に二塁だが、遊撃も守れる堅い守備も魅力な“西武の顔”。09年WBCでは韓国との決勝戦で決勝ホームも踏むなど国際舞台での勝負強さも本物だ。

 西武のチーム内では「右打ちやバントなど自己犠牲をいとわず、雰囲気を変えられる男」として通っている。おとこ気があって人望も厚い、ムードメーカー的な存在だ。今季は故障から復帰した9月中旬以降、Bクラスだったチームを8連勝フィニッシュで大逆転2位に導いた原動力となった。ここ3年は故障や若手の台頭で出場機会が減っているが、中日は実力を高く評価。まだ30歳の伸びしろにも期待し、補強の上位リストに挙げた。

 中日は長年レギュラーを張ってきたアライバコンビが故障がちで衰えも隠せず、堂上直や岩崎ら若手も発展途上。今季は不慣れな森野を二塁に回すなどしてしのいだが、谷繁監督が掲げる「負けない野球」を実行するには、戦力整備が不可欠だ。その点現有戦力に欠けるガッツあふれるプレースタイルも補強ポイントに合致。片岡はFA権行使の態度を明確にしていないが、宣言すれば、ポスト・アライバとして獲得に動く見込みだ。FA選手の獲得は07年オフの和田一浩を最後に凍結中。だが12年ぶりBクラスからV奪回を目指す谷繁兼任監督を全面支援すべく、解禁準備は着々だ。

 片岡は今季推定年俸が9500万円で、FA補償はBランクとみられる。獲得の場合は人的補償も必要になるが、実力に対する金銭的なお買い得さも魅力だ。今後はトレードで獲得の可能性も探るなど、水面下で調査を継続。「竜の片岡誕生」を目指すことになる。

 ◆片岡治大(かたおか・やすゆき)1983年(昭58)2月17日、千葉県生まれ。宇都宮学園3年夏に甲子園出場。東京ガスを経て04年ドラフト3巡目で西武入り。08年に最多安打、07~10年に盗塁王、08年に二塁手でベストナイン。本名は「保幸」。登録名を東京ガス時代に「易之」にし、昨オフ「治大」に変更。今季推定年俸9500万円。176センチ、82キロ。右投げ右打ち。