<コナミ日本シリーズ2013:楽天0-2巨人>◇第1戦◇26日◇Kスタ宮城

 ルーキーの力投も報われなかった。楽天則本昂大投手(22)が8回4安打2失点、10奪三振と好投したが、打線の援護に恵まれず、大事な初戦を落とした。5回、1死一、三塁から長野に先制打を許し、8回には2死から村田に痛いソロ本塁打を浴びた。ルーキーの日本シリーズ初戦先発は61年ぶりで、勝てば史上初の快挙だったが、失投を逃さない巨人打線に屈した。

 則本のわずかなコントロールミスだった。1点ビハインドの8回。2死から4番村田を迎えた。初球、捕手嶋の構えたミットよりやや中に入った外角直球を、捉えられた。右翼スタンドへ運ばれる痛恨のソロ本塁打。前打者の阿部を緩いカーブで三振に仕留め、波に乗りかけただけに、直後の1発は重かった。「ちょっと甘くなってしまいました。終盤の失点は痛い。あの1点がなかったら(展開が)変わっていたかもしれないです」と唇をかんだ。

 チームをもり立てる力投だった。序盤から内角をグイグイ攻めた。3回、2死走者なしから阿部と対戦。3球目に146キロの内角高め直球で体をのけぞらせ、4球目の150キロの高め直球で空振り三振。真っ向勝負に球場は沸いた。5回に長野に先制打を浴びたが、「内角を使わないと抑えられないので。内角のコントロールは良かった」と、ベテランの高橋由、ロペスら長打力のある打者に対しても、恐れずに胸元を突いた。

 本来は速球とスライダーが組み立ての軸だが、この日はシーズン中に1試合数球しか投げていなかったフォークを14球も使った。3回に長野、4回に村田、高橋由にもこの球で連続三振。10奪三振中、6個はクリーンアップから奪ったものだった。「負けはしましたけど、嫌なイメージはつけられたんじゃないかなと思います」と前向きに捉えた。星野監督も「立派なもんだ」と高く評価した。

 ルーキーが日本シリーズの初戦で勝てば、史上初の快挙だった。惜しくも敗れたが、シリーズはまだ始まったばかり。今日27日の第2戦はエース田中が控える。2戦目以降、1勝すれば、則本が中4日で31日の第5戦に再び登板することも可能だ。「今日反省するところは反省して、良かったところは良かったところで継続する。また明日から切り替えていきたい」。悔しさを胸に秘め、リベンジの機会を待つ。【斎藤庸裕】