今季、初めて国内フリーエージェント権(FA権)を取得した日本ハム鶴岡慎也捕手(32)が28日、札幌市内の球団事務所で記者会見を行い、権利行使の意向を表明した。球団側は残留を求め、交渉の席上で単年契約となる現状維持の来季年俸7600万円(金額は推定)など条件を提示した。元エースのダルビッシュ(現レンジャーズ)ら、日本ハム投手陣の信頼を集めてきた扇の要。FA市場で貴重な捕手とあって、他球団移籍となれば、争奪戦も予想される。

 愛すべき「ガチャピン」が、流出危機だ。昨季から選手会長としてチームを支えている鶴岡が、険しい表情で、慎重に言葉を紡いだ。「FA権を行使させていただく方向で考えていますと、伝えさせていただきました」。ざっくばらんな性格でチームメートやファンに愛される正捕手の決断。「プロ野球選手である以上、上を目指していかないといけない。11年間やってきたことをゼロにして、一からやりたいという思いがある」。さらなる成長のために、権利行使の道を選んだ。

 鶴岡は入団テストを経て02年ドラフト8位で入団。球団側はさっそく、生え抜きの功労者に対して権利を行使した上での残留を認め、引き留めにかかった。「人一倍、チームに愛着を持っている」という鶴岡は「いつまでも待つと言われ、残留という選択肢も考えてはいる」としながらも「他球団の評価も聞いてみたい」と、率直に揺れる思いを打ち明けた。

 今後は他球団のオファーを待って残留か移籍かを決めることになるが、球界全体で見ても捕手は人材不足とあって、争奪戦になる可能性が高い。「ケガが少なくチームを引っ張ってくれる選手。もちろん残って欲しい」と評価する島田球団代表だが「うちにはFAバブルはない」としており、今後、条件面での大幅な変更はない見込み。鶴岡自身も条件面では納得しており、焦点は別の部分となりそうだ。「(FAの手続きが始まる)日本シリーズが終わるのを待って、いろいろと考えたい」。決断の時は、刻一刻と迫っている。【中島宙恵】