<コナミ日本シリーズ2013:巨人2-4楽天>◇第5戦◇10月31日◇東京ドーム

 巨人が崖っぷちに立たされた。延長10回、守護神の西村健太朗投手(28)が制球を乱し2失点。9回に見せた粘りの同点劇も勝利にはつながらなかった。2勝3敗となり、楽天に王手をかけられた。第6戦で今季無敗の田中に勝たなければならず、球団として40年ぶりの2年連続日本一に後がなくなった。

 ただ単に王手をかけられたというだけではない。第6戦の敵は無敗の田中。強大な壁を乗り越えなければいけなくなった。原監督は「それはどういう状況でも変わらないからね」と、淡々と話したが、最も嫌な状況で対戦を迎えることになってしまった。

 絶好調の巨人打線ならば、勝負は面白いかもしれない。しかし、この日の試合で見せた打線の状態は、間違いなく今季最悪の状態だ。3番坂本勇人内野手(24)は狙いを絞りきれないまま3三振。4番の阿部慎之助捕手(34)はど真ん中の甘い直球も打ち損じるなど、いつもの頼もしさがない。第6戦に向けて打線の組み替えは必至。原監督も「しっかり考えてベストの布陣の中で戦いたい」と言ったが、坂本と阿部は外せない選手。2人が復調しない限り、劇的な好転を望むのは難しい状況だ。

 楽天投手陣にいいイメージを持たれてしまったのもマイナス材料だ。第7戦に持ち込んだとしても、この日、5回1安打無失点と好投を許した辛島、第3戦で5回2/3を封じられた美馬が相手。そこに則本や田中がリリーフで出て来ることを考えると、やはり打線が今の状況では、とても戦えない。このままでは連続日本一がかすんでしまう。

 原監督は「(9回に)勝ち越せなかったということが、こういうゲームになった。粘ったというのは価値がありますが…」と、辛島を攻略できなかったことよりも、ワンチャンスをモノにできなかったことを敗因に挙げた。打線の状態が悪い中で、少ないチャンスをどう生かすかということにかけていたのだろう。

 わずかだが好材料はある。9回に見せた粘りの中で、突破口を開いた高橋由が初安打を打ったこと。10回に代打で登場したロペスが、アウトにはなったもののいい当たりを飛ばしたこと。「逆シリーズ男」だらけの巨人打線。救世主は、何人出て来てくれてもいい。【竹内智信】