解任上等だ!

 野球日本代表の新生・侍ジャパンが5日、都内ホテルに集結。小久保裕紀監督(42)は8日からの台湾代表戦(台湾・台北、3試合)を強化試合ながら勝利を追求、お祭りムードを封印する意気込みを明かした。結果次第ですぐに監督解任論が浮上するサッカー日本代表にならい、「俺もその覚悟」と宣言。誰もが代表入りを目指し、誇りとする侍ジャパンへ育てることが世界一奪回の第1歩とした。

 戦う前に侍のあるべき姿が大事だった。新生・侍ジャパンが初めて一堂に会する船出の日。小久保監督は解任論さえ覚悟し、自宅のある福岡をたった。「親善試合とはいえ、テレビのゴールデンタイムで中継される。球宴みたいにニヤニヤしながら、という態度は望まない。見ているファンはそういうものを求めていない。勝ちにこだわる。ザックに解任論とかが出ているけれど、俺もその覚悟でやる」。身ぶりをつけ、のど仏を上下させながら熱い言葉を紡いだ。

 例えたのはサッカー日本代表。親善試合であっても結果が伴わなければ常に批判にさらされる。現在も、ザッケローニ監督の解任論の火だねは消えない。サッカー界、ファンの関心が高く、議論も尽きない。唯一無二で、誇り高き代表チームだからこそ、である。小久保監督も侍ジャパンをそんな存在へ育てるため、初陣から自らを背水の陣へと追いやった。

 8日に控える相手はプロアマ混合の台湾代表。さらに今回はシーズン終了後で、選手にとっては休養に充てたい時期かもしれない。ただ侍の看板を1度でも背負えば、侍の魂を抱いてもらう。「呼んだ選手たちにまた呼ばれたいと思ってもらえるものをつくり、断れないと思ってもらえるようにしたい」。就任前、サッカーなでしこジャパンの佐々木監督と会食をともにし、世界中のクラブから選手を招集するサッカー日本代表のあり方に感銘を受けた。「侍ジャパンのブランド力が上がるようにしたいね」。17年WBCまで続く長い道のり。厳しい批判を浴びながら戦い、進む覚悟を決めた。

 ミーティングで緊張する若き面々を見て「出陣するのだという気持ち」と胸を躍らせながら、「あくまでも真剣勝負。親善試合ではなく強化試合という位置づけで、結果を求め勝ちにこだわる」とぶれなかった。最年長28歳の嶋を主将に任命し、招集ごとに全員に発行する、新設の「代表召集状」を手渡した。ここにも「(サッカーの)A代表ではないが、侍ジャパンのトップチームのスタート。一生に残るものを考えた」と小久保監督の思いが詰まった。日本球界の未来を担うチームは今日6日の初練習で胎動する。【押谷謙爾】