<国際強化試合:日本1-0台湾>◇10日◇台北・天母

 小久保ジャパンが前途洋々にかじを切った。10日、台湾代表との強化試合最終戦に臨み、先発した三嶋一輝(23)が4回を2安打無失点、2番手の松葉貴大(23)も3回を無安打無失点と好投。4投手のリレーで地元台湾を3安打で完封し、1-0の接戦をものにした。小久保裕紀監督(42)は敵地で3連勝発進と、最高の指揮官デビューを飾った。

 総立ちの観衆から、侍たちが拍手と歓声のシャワーを浴びた。一、三塁側の両客席から紙テープが投げられ、マウンドでは両軍1人ずつ握手で健闘をたたえ合った。最後は無失点リレーを決め、3連勝。最高の船出にも小久保監督は「軽く頭痛が残る」と打ち明けた。「むちゃくちゃ疲れました。疲労って脳にもくる。監督とは集中力が必要とつくづく感じた」。初監督業の重圧から一瞬だけ解放され、笑みも漏れた。

 先発三嶋は序盤こそ制球に苦しむが4回を無失点。「昨日に続いて追い上げられ、勝った気がしない」。自らの心配をよそに松葉、井納、益田が1点差で難なくつなぐ姿に「日本の投手陣は通用する。レベルが高い」と手応えを深めた。

 手探り状態の常設チームが初陣を終え、「どういうチーム編成が必要か分かってきた」という。

 今回の台湾打線は直球に強かった。「直球の速い投手より緩急を使える投手がいいのかもね」と話し、メンバー選考にも関わる情報収集の大切さを痛感。「国によって傾向がある。本当に勝ちに行くならNPBに頑張ってほしい」と、前回WBCで巨人の戦略室が日本の“頭脳”として加わったような体制づくりを期待した。

 攻撃面では機動性を高める。この日は3回2死走者なしから菊池が初球を安打し、盗塁、暴投を絡めて岡島の右前打で虎の子の1点を挙げた。「足を絡めた野球が必要。セーフティーバント、エンドランが好きな選手なのかは話してみないと分からない」。性格を含めて指揮官が事前把握する時間は少ない。NPB関係者は「国内で選手を見る人などを考える」と話し、専属の「巡回スカウト」配置を検討していく。

 試合後の控室で小久保監督は「4年後、今回のメンバーが主力、中心になれるよう期待する」と訓示し、チームは解散した。「3連勝の結果には満足。采配の課題、侍ジャパンのあり方、課題も見え、すべてが収穫です」。建築が始まった新生ジャパンは、新たな収穫を土産に帰国する。【押谷謙爾】