えっ?

 プロゴルファーになっていた?

 中日を戦力外となった川上憲伸投手(38)が19日、ナゴヤ球場横の選手寮「昇竜館」で古巣と再契約を結んだ。来季年俸は今季の半分となる3000万円。会見ではプロゴルファー転身も考えていたという仰天プランがあったことを明かした。

 戦力外になった川上が異例の“出戻り”という形で来季も中日のユニホームを着ることになった。スーツ姿でナゴヤ球場に現れ、落合GM、西山球団代表と交渉し会見場に直行した。「すごい恥ずかしいんですけど、ドラゴンズと再契約していただきました」と頭をかいた。

 約10分間の会見は冗舌で、爆笑の連続だった。戦力外通告からこの日まで、約2カ月間の浪人生活。「先月、引退会見するかと言われたけど断って良かった」とニヤリ。「照れくさいですね。春休みに転校しそうでしなかったみたい」と独特の言い回しで、バツ悪く新学期を迎えた学生に例えた。

 仰天の転身まで、頭に浮かんでいた。「たった1度の人生ですから違うスポーツもやってみようと思った」。スコア70台の腕前だけに、ラウンドを重ねるうちにプロゴルファー挑戦の夢も描くようになった。結局「全然結果が良くなかったのでやっぱりダメだと思った」と明かしたが、ゴルフ場には通い詰めていた。

 9月末に戦力外通告を受け、他球団からの誘いもあった。ただ、体制の変わった中日が再契約を打診したことで、慣れ親しんだチームを最終的に選んだ。「やっぱり環境面。人見知りだし、打席に仲のいい選手が立って闘争心が出るかというのもあった」。谷繁兼任監督からも電話で熱いメッセージを受けた。

 交渉の席ではかつての指揮官からうれしい言葉をかけられた。久しぶりに顔を合わせた落合GMからは「戻ってきてくれて良かった。期待してる」とゲキを飛ばされたという。もちろん、その期待に応える。

 「キャンプでは1年間ローテを守りたい。(今年は)他球団に比べて勝つことに対する執念が弱かった。そのへんだけは引っ張っていきたい」

 1度はチームを離れたが、落合監督時代の05年から4年連続で開幕投手を任された絶対的エースの闘争心は消えていない。(金額は推定)【桝井聡】

 ◆川上再契約の経緯

 10月3日、戦力外通告を受けていたことが分かる。すでに9月末に通告されており、ナゴヤ球場で2軍の練習に参加した川上は「来年も現役で、ここで続けるつもりだったので、どちらかというとショックですね」と厳しい表情。同時に他球団での現役続行を希望する。同8日、来季は落合GM-谷繁兼任監督というウルトラC人事が判明する。翌9日、球団がGMと新監督を発表。ここから新体制での編成作業が進み、同17日に川上と異例の再契約を結ぶことが明らかになる。11月19日、川上が落合GMと交渉し再契約を結んだ。