日本ハムから国内フリーエージェント(FA)権を行使していた鶴岡慎也捕手(32)が11月30日、ソフトバンク入りを表明した。この日、札幌市内の日本ハム球団事務所で会見し、自らの口で発表した。背番号は、プロ入り初めての1ケタ台「8」となる見込み。高い期待に応えるため、正捕手となり、古巣日本ハムと優勝争いすることを目標に挙げた。入団会見は、今月上旬に福岡市内で行われる予定。

 日本ハム、北海道への愛着は隠せないが、それでもスイッチを入れ替え、「ホークス鶴岡」の顔になった。

 鶴岡

 ソフトバンクホークスさんにお世話になることに決めました。いろいろ悩みましたが、また新しいところで、一からやりたい気持ちがありました。(日本ハムとの対戦を)まだ想像できないけど、ユニホームを着たら、そこは仕事。グラウンドに出たら敵として戦う。

 日本一1度、リーグ優勝4度の実績を生かし、古巣の前に立ちはだかる覚悟を決めた。

 ソフトバンクとは先月19日に交渉し、4年最大5億円プラス出来高払いの好条件でラブコールを受けた。さらに、背番号は「8」を提示されたもよう。02年ドラフト8巡目で入団したときは「64」からスタート。11年からは「22」に変更し、プロ12年目でついに初の1ケタとなる。「そこまで僕のことを必要としてくれた。大きく気持ちが傾いた」。ライバル球団からの高い評価に、心はふるえた。

 新たな目標ができた。日本ハム11年間で印象に残る場面を問われると、迷いなく言った。「06年のリーグ優勝。今でも鮮明に覚えている。僕個人としてもファイターズにとっても歴史的な日」。球団史上25年ぶり、自身にとっては初めてのリーグV。札幌ドームが揺れた。好投していた斉藤和巳が泣き崩れるシーンは、記憶に残るファンも多い。そう、相手が、ソフトバンクだった。「ファイターズとホークスは常に優勝を争うチーム。そういう試合(大事な試合)が多くなる」。今度は逆の立場で、古巣と優勝を争うことを目指す。

 来月には第3子が誕生することもあり、まずは単身赴任で福岡に移り住むつもり。「FAで入る以上、結果しか求められていない。チームの優勝に貢献できるようにしたいです」。テスト入団から一流プレーヤーの仲間入りを果たし、北海道で愛された九州男児が、生まれ故郷に凱旋(がいせん)する。【本間翼】