守備固めなんていらない!

 真の三塁レギュラーを目指す阪神新井良太内野手(30)が14日、三塁グラブに改良を施したことを明かした。同じ契約メーカー・ミズノのグラブを使用する巨人村田修一から助言を受け、同様モデルにする。さらに名手・宮本慎也の極意も聞き出し、ゴールデングラブ賞も視野に守備改革に着手した。

 虎党がバットに期待をかける良太が、守備改革に乗り出していた。きっかけは6日の「ミズノ・アンバサダーズ会議」。会場で、今季のゴールデングラブ賞・巨人村田に歩み寄った。かねて胸にあった守備への思いを打ち明けた。その収穫がグラブ変更だった。

 「村田さんのグラブで今、練習しているんです。今までより、ひとまわり小さくてフィットするもの。それでいて親指の部分が硬くて打球に負けない。不規則な打球が多いんで、グラブの中で(ボールが)遊ばないように」

 村田は東都大学リーグの3年先輩で、同じ背番号「25」だった中日時代からよく声をかけてくれたという。そんな球界の先輩はさらに、秘めたる「金言」も打ち明けてくれた。

 「宮本さんに『やばいと思ったら、両手を下げろ』と言われ、それでうまくいったと言っていました。重心が下がる?

 ニュアンス的にはそういうことじゃないでしょうか」

 村田から聞いたのは、今季限りでヤクルトを引退した宮本の言葉だった。ゴールデングラブ賞常連の名手。速く、強い打球の多い三塁守備では、いかに重心を低く備えるかが重要になる。その方法論としてグラブだけでなく、両手を下げるのが極意のようだ。

 「守りがしっかりしていて、打率も残して、ホームランも打てる。村田さんのライバルを目指してやっています」

 元々、送球は安定している良太は、捕球が確実になればレベルは1つ上がる。来シーズンが終わるころ、三塁のゴールデングラブ賞を村田と争っているというのが野望だという。

 「秋のキャンプでも、守備に重きを置いてやっていた。守備は10割を目指せるもの。3打席で終わりというのは嫌ですし。勝利のマウンドでハイタッチしたいですから」

 くしくも阪神の三塁手でゴールデングラブ賞を得たのは掛布、オマリーと、このオフ指導者として入団した2人。来季へまずは三塁のレギュラー争いが待っているが、文句なしの守備があれば、フル出場の可能性も高くなる。最後までグラウンドに立っていたい-。熱き思いが、良太を守備の進化へと突き動かした。【鈴木忠平】