アッと驚くセカンドライフ構想を明かした。日本ハム栗山英樹監督(52)が14日、札幌市内の小学校で特別授業を行った。夢について語り合い、10年後の実現へ向け一緒に工作もした。「プロ野球選手」「宇宙飛行士」「パティシエ」…。児童の夢に刺激されたのか、授業終了後の口調は熱かった。「10年後かぁ…。オレ、昆虫博士になりたいんだよね。そのために、今は(昆虫の)先生方に聞いて回ってる。10年後は自然に返ります」。身を粉にして戦う指揮官の胸の内には、ひそかな“野望”があった。

 きっかけは、子供のころに受けた理科の授業。ハチやチョウが、木の蜜に群がる映像に目を奪われた。「中でもクワガタが好き。子供のころ、クワガタを体にはわせてた」と周囲をやや“引かせ”ながら、昆虫をでき愛していたエピソードを披露。自宅のある栗山町の栗の樹ファームには、樹液が多く出るとされるミズナラの木を植え、クワガタは増殖中だという。「木を蹴ると、クワガタがボトボトボトって落ちてくるのがすごい」。夢の実現へ、着々と準備を進めている。

 もちろん、監督業を“サボッて”いるわけではない。「来年は日本一、リーグ優勝。自分に課して、勝負します」。野球が脳裏から消えることは片時もない。また、昆虫や森林が豊富な北海道で生活することは、日本ハムの将としての務めとも考える。「絶対的に(北海道に)住むべきだと思う。寒い冬、厳しい季節も一緒に生活をして、苦労を共にしないと」。地域密着、共生を掲げる球団だけに、選手へも本当の意味で道民になることを薦めた。

 「ファイターズが北海道にある意味は、これから問われていく」。移転11年目で、最下位からの巻き返しを期待される来季。未来の昆虫博士は、グラウンドで勝利だけを追求していく。【本間翼】