「犬より速い男」が、さらにその脚力に磨きをかける。巨人大累進内野手(23)が17日、陸上女子100メートル、200メートルの日本記録保持者の福島千里(25=北海道ハイテクAC)と北海道で自主トレを行うことを明かした。この日、東京・大手町の球団事務所で行われた契約更改交渉では150万円減の1050万円でサインしたが、巻き返しのため、基礎から見直し再スタートを切る。

 やはり本能的にスピードを欲してしまうのか。大累がこのオフの自主トレに選んだのは、陸上競技の第一人者の練習だった。伊東浩司氏の紹介で北海道・恵庭市にある北海道ハイテクACの施設で、福島千里と練習できることになった。巨人の育成、荻野貴幸内野手とともに、1月7日から始動する。

 自称50メートル走5秒7の俊足が武器の大累。大学1年まで自宅で飼っていたウエルッシュ・コーギー・ペンブロークのラリーちゃんとの競走では「一緒に走っても負けませんでした」と言う。朝原宣治氏が持つ50メートル走5秒75の日本記録への挑戦希望を口にしたこともあるほど、足には自信がある。この日、福島とどちらが速いか聞かれると「福島さんは200メートルが得意。僕は野球なので20メートルから30メートル。最初のスタートで勝てればいいと思っている」と、負けん気をのぞかせた。先週末にはソフトバンク内川も3日間の合同トレを行っており、室内で100メートルトラックやトレーニングジムを完備した施設での“勝負”も挑む。

 道都大出身の大累は、北海道を本拠地にする福島を1度、見かけたことがあるという。「札幌のスーパーで見かけて、こんな細い人なんだって思ったのを覚えてます。話は1回もしたことないですけどね」。だがテレビでは何度も見た。体幹の鍛え方や走り方の理論など、野球に生かせる部分が大いにあると、楽しみにしている。

 今季は1軍の出場はわずか2試合。打席に立つことはなかった。守備にも打撃にも課題が見えた。「体でなく、頭で整理して、どんな選手になりたいかよく考えて基礎から鍛え直したい」と決意を語る。その足掛かりをつくるため、福島から貪欲に吸収する。【竹内智信】

 ◆大累進(おおるい・すすむ)1990年(平2)8月31日、札幌市生まれ。駒大苫小牧高から道都大へ進み、3年秋に札幌6大学リーグ首位打者、同年春と秋にベストナインも獲得した。大学時代は50メートル走5秒7を記録した。12年ドラフト2位で巨人に入団し、今季は1軍2試合に出場。175センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、兄。