阪神榎田大樹投手(27)が伝家の宝刀スクリューを“解禁”する。来季先発ローテ入りを期待される左腕は22日、中西投手コーチらとともに大阪市内でトークショーに参加。手術した肘の影響で今季は途中離脱したが、同コーチから「榎田がいれば、9月はあそこまで失速していない。来年は先発1本。中6日で最後までまわってほしい」と期待をかけられた。本人はそれに応えるための秘策を用意していた。

 「スクリューを投げられるようにしていきたい。1年目のような球を投げられればと思っています」

 62試合に登板し、33ホールドを記録した1年目は右打者の内角を突く速球、スライダーの他に、外角に投げるスクリューが大きな武器となっていた。それが手術した肘の影響で、今季は封印。代用したのがシュート、フォークだったが、限界があったという。

 「バレンティンのホームランはシュートがひっかかった。1年目のスクリューだったら打たれていなかったと思いますし」

 9月15日、ヤクルト戦、プロ野球史を塗り替える56号本塁打をバレンティンに浴びた。この時も困った時に頼れる武器がなかったことが響いたという。

 「キャンプで投げてみてからですね。1年間ローテに入りたいですから」

 来春は肘への負担を探りながら、再びスクリューを解禁する。来季のカギを握ると言われる左腕が大きな武器を取り戻す。

 ◆スクリューボール

 投げる腕の方向に落ちながら曲がる変化球。基本は人さし指と中指をそえて握り、回転をかける。スクリューとは、ネジの意味。中日山本昌、今季カブスなどでプレーした高橋尚らが主な使い手。

 ◆榎田のバレンティン56&57号被弾

 榎田は9月15日のヤクルト戦(神宮)に先発。1回1死二塁の場面でバレンティンを迎え、2ボール1ストライクからの4球目、137キロ直球を左中間スタンドへ運ばれた。これがプロ野球のシーズン最多本塁打記録更新となる56号アーチだった。さらに榎田は3回にも3ボールから120キロスライダーを打たれ、57号も被弾した。