異例の直談判へ。日本ハム木佐貫洋投手(33)が、3月9日オリックスとのオープン戦(姫路)での先発登板を栗山監督に直接交渉する意向を示した。6日、熊本市内で自主トレをスタート。「くまモン」との合同自主トレは実現しなかったが、熊本城を背に走り始めた右腕は、あこがれの姫路城への熱い思いを披露。チームが今季唯一、同地を訪れる試合での登板を熱望した。

 意気消沈の木佐貫に、名城・熊本城が新たな野望を与えてくれた。熱望していた、ゆるキャラ界のエース「くまモン」との合同自主トレだったが「あの方は、やはりお忙しかったです」。コンタクトは取れたが、熊本県庁の仕事始めと重なり、丁重に断られたという。「本当は、くまモンと相撲を取りたかった…」。そんな未練を振り払うように荘厳な景色を背にランニングしていると、新たな野望がムクムクとわいてきた。

 木佐貫

 造詣は深くないですが、神社仏閣は好きです。行ってみたいのは姫路城ですね。神戸に住んでいたときは改修中で、布で覆われていたので。

 思わずあこがれの場所を口にすると、驚きの事実を報道陣から知らされた。姫路でのオープン戦が3月9日にある。もう興奮は、沸点に達していた。

 木佐貫

 それは、失念していました。日程好きの私としたことが…。これは栗山監督に、よくお話をしないといけませんね。

 目をギョッと見開き、異例の直談判を宣言した。寒さが残る3月上旬の屋外球場。慣れないマウンドの地方球場は主力投手が登板を敬遠したがる傾向にあるが、お構いなしだ。姫路城の保存修理事業は続いているが、やはり見たい。「もちろんチーム事情が優先ですが、でも…」。最後の言葉は飲み込んだが、姫路城への思いがこみ上げた。

 熱い気持ちは、トレーニングにも現れた。熊本城に隣接する球場などで約3時間の屋外練習では、約2時間半も走りっぱなし。初日から追い込んだが、終始笑顔で終了。今季の目標もテンション高く「勝ち星でスタートダッシュしたいですね。前半戦で10(勝)いっときゃウハウハでしょ」と、高いハードルを設定した。難易度が高いであろう栗山監督との直接交渉を成功させ、ロケットスタート実現の発奮材料にする。【木下大輔】