球界の「りょう君」が極寒のアクシデントに見舞われた。日本ハムのドラフト8位石川亮捕手(18=帝京)が入寮から一夜明けた10日、衝撃体験を告白した。体中のドキドキは、目が覚めるとガクガクに変わっていた。この日、千葉・鎌ケ谷は午前6時で気温0度。冷気を直に感じる窓側のベッドの上で、凍えながら朝を迎えた。「寒くて手足がやばかったです」。初めての寮生活での高揚感は、冷え固まっていた。

 やせ我慢が裏目に出た。9日の入寮後、エアコンが故障し動かないことが判明。修理が終わるまでドラフト1位渡辺諒内野手(18=東海大甲府)の部屋へ一時避難を勧められていたが、断っていた。「部屋は広くないし、大の男2人でいるのは気持ち悪い」。凍えることになろうとは知らず、プライドを貫いた。

 不運が重なった。ちょうど日本列島に今シーズン一番の寒波到来。2軍寮のある千葉・鎌ケ谷も冷え込んだ。「寝る前は余裕だと思っていたんですが…」。夕食では新人7選手でただ1人、白飯3杯を平らげ、肝っ玉の据わった姿を印象づけた。「めっちゃおいしくて、つい食べ過ぎちゃいました」。満腹で布団に潜ったが、プロ生活初めての夜、いきなり試練が訪れた。

 厳しい寒さに耐え抜いた忍耐力を、野球でも魅せる。今日11日から新人合同自主トレがスタート。「プレーのアピールより、早く慣れないと」。高校生ルーキーでは唯一、寮生活初体験のため環境慣れを最優先。入寮前には帝京の先輩、杉谷と松本に連絡し寮生活でのアドバイスを受けていた。「まず、きちんとあいさつすること。帝京魂です」。愛校心を燃やしながら、時に冷たいプロの道を進んでいく。【田中彩友美】