負けたら、クビ!
阪神藤井彰人捕手(37)が正捕手争いへの悲壮な決意を打ち明けた。10日に大阪市の西淀川警察署で一日警察署長を務めた。年明け早々にDeNAから人的補償で鶴岡一成捕手(36)が加入。「負けたらクビでしょう。そういう覚悟をもってやる」。男前の愛称で人気のベテランが背水の思いで激戦区に挑む。
新年のめでたい雰囲気は一切なかった。一日警察署長を務めた藤井が自ら切り出す。「激戦区ですね…」。男前の愛称を持つ男は、真顔だった。年明け早々の6日に、人的補償でDeNAから鶴岡を獲得することが発表された。1学年下の同じ捕手。昨年は112試合に出場した藤井が激化したポジション争いに身を投じる。
「負けたら、クビでしょう。そういう覚悟をもってやる。今年で僕も38歳ですし、先は長くない。悔いの残らないようにやって、ホームベースを守りたい」
本人の言葉通り、捕手は激戦区になった。ベテランでは藤井、鶴岡に日高。中堅以下では清水、小宮山、小豆畑、ルーキーの梅野もいる。実績的にも鶴岡は最大のライバルと言っていい。獲得のニュースを聞いた時の心境を問われると、複雑な表情になった。「どうなんでしょうね。あ~、そうなんや、って感じですね」。投手陣の信頼も厚いだけに、プライドを傷つけられたかもしれない。しかしそんな思いは表に出さなかった。
「競争の社会ですし、ダメだったら、雇ってもらえない。評価するのは、監督。第三者であって、自分ではない。藤井に任せたいと思わせるようにしたい」
期するものはある。前日9日に、近大のチームメートである日本ハム二岡が引退を表明。8日に電話で報告を受けたという。「大学から一緒にやって、巨人のスーパースターだった。同級生が1人減るのは寂しい」。進退という文字が近づく年代だ。だからこそ、1年にかける思いは強い。
「タイガースは2位ではダメ。勝たないと評価してもらえない。特にキャッチャーはそういうポジション」
得意のジョークは最後まで封印した。激戦区を制し、チームに勝利をもたらす。男前の悲壮な決意だった。【田口真一郎】



