福よ、来い!

 3年目となる阪神歳内宏明投手(20)が、先発ローテ入りへ「一番福」にあやかる。

 10日早朝、兵庫・西宮市の西宮神社の本殿への参拝一番乗りを競う恒例の「開門神事福男選び」が行われた。「一番福」を手にした同大野球部1年の京田世紀さん(19)は、宝塚ボーイズ、聖光学院(福島)時代の1学年下の後輩。食事もよくする気心知れた仲でもある。「そんなに足は速くないんですけどね」と首をかしげながらも快挙を喜んだ。

 今月5日には、高校当時から歳内をよく知り、自主トレにも同行する大高茂トレーナーと京田の3人で焼き肉を食べていた。「その時は何も言ってなかったんですよ」。後輩は内緒にしていただけに、驚きも倍増。早朝、大高トレーナーからの電話で知らせを受け「何かなと思いました。(京田に)電話をかけたら『僕もビックリしてます』って言われました。福をあやかりたいですね」。

 能見、メッセンジャー、藤浪と3本柱が確立されているが、先発ローテーションは3枠空いている。その穴を埋める候補に、もちろん歳内も挙がっている。ローテ入りを狙う右腕は、この日も鳴尾浜で合同自主トレに参加し、着々と準備を進めている。

 年末には兵庫・尼崎の実家で祖母初子さん(77)から激励。年始から「一番福」が舞い降りた。おばあちゃんの熱い声援と後輩“福”を味方に、先発ローテ入り、そしてプロ初勝利を目指す。【宮崎えり子】

 ◆一番福

 商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社で知られる兵庫・西宮市の西宮神社の本殿までを競う「開門神事福男選び」で、参拝一番乗りになった人に与えられる称号。起源は鎌倉時代までさかのぼる。毎年、本えびすの10日に開催。本殿までは約200メートル。石畳の参道を疾走、途中直角カーブもあり、転倒する人も。速さだけでなく運も必要。上位3人を「福男」として表彰。女性も参加可。