今季の完全復活を期す日本ハム斎藤佑樹投手(25)が、流行中の「ネガティブキャラ」へ変貌を遂げた。21日、2軍の千葉・鎌ケ谷の室内練習場でブルペン入り。見つめた山田GMら周囲から絶賛の嵐も、佑ちゃん本人は謙虚そのもの。ネガティブ発言で人気のモデル栗原類(19)ばりに、自己否定もいとわない一面を見せた。

 再出発への秘めた決意がにじむような、思考の変化の予兆だった。理想とのギャップに、斎藤から自虐的な言葉がこぼれた。ブルペンで65球を投げた後、球団広報が撮影していた携帯電話に歩み寄る。みけんにしわを寄せながら動画に見入った。「自分の感覚と周りの感覚は全く違うと気づいた」。いつも自信に満ちた佑ちゃんの表情が、どこか陰りを帯びていた。山田GMは「見た感じ、まとまりがあった」と及第点を与えたが斎藤自身は、想像とのズレに衝撃を受けていた。

 精神の進化の象徴でもある。右肩関節唇損傷で苦しんだ昨季、周囲から多くの助言が飛んできた。時には否定的で受け入れがたい言葉もあったが、取捨選択する信念は曲げなかった。「昔はフォームに変な自信がありましたから」。この日の自らを責め立てる言葉は、周囲の意見を素直に聞き入れる心の余裕が出来た証しだった。

 持ち前の前向きな姿勢は変わらない。2月1日に沖縄・名護でスタートする春季キャンプに向けて、好材料を得た。「周りから見てもらって指摘してもらいたい」と、キャンプイン後も動画研究は続けていく予定。負傷後から見続けてきた伊藤2軍総合コーチは「腕がしっかり振れている。昨年やり続けた成果が出ていた」と成長を認める。佑ちゃんは「とりあえず、安心させないとね」と、周囲の不安を期待に変えるべく、順調にステップアップしている。完全復活へ向け、時には自らを否定しながらでも、生まれ変わっていく。【田中彩友美】