仰天の「ドリルボール」じゃ!

 広島ドラフト1位大瀬良大地投手(22=九州共立大)が11日、宮崎・日南市内の天福球場でフリー打撃に初登板した。鈴木将、庄司に49球を投げ、6、7割の力ながら安打性は4本。同い年の庄司は直球の回転をドリル回転のような「らせん形」と表現。大物ルーキーが徐々にすごみを見せ始めた。

 大瀬良は表情こそ変えなかったが、内心ムッとした。「庄司にカチンと打たれて、クソッと。次のボールはちょっと力を入れました」と照れ笑いだ。同い年で1軍経験のない左打者に直球を中前にはじき返され、闘争心に火がついた。直後に直球で内角を突き振り遅れのファウルを奪った。

 庄司

 球が強いんです。きれいな縦回転じゃなく、らせん形の回転というか、カット気味に押される感じ。詰まっても内野の頭を越せるボールじゃない。カーブもすごく良くて、腕の振りが直球と変わらない。なのにカーブは試合ではあまり投げなかったと言うし、あそこにカットやチェンジアップを加えられたら…。

 キャンプ初のフリー打撃登板。昨年11月9日の侍ジャパン台湾戦に登板して以来の対打者ということもあり、6、7割の力で制球重視を心掛けた。にもかかわらず、興奮気味に衝撃を語られる。鈴木将、庄司に49球を投げ、安打性は4本。球種を予告しての投球ながら、唯一の変化球カーブで空振りも奪った。ドリルのようにらせん回転するという内角直球で2人のバットを1本ずつ折り、本人も珍しく納得顔だった。

 大瀬良

 まずは打者の反応を見たかった。詰まらせるファウルを取れたし、カーブもすごく良かった。

 休日だった前日10日は前田、野村に誘われ温泉へ。裸の付き合いで野球談議を楽しんだ。「シーズンは長いから飛ばすなよ、とアドバイスをもらいました」。前田から「前田さんよりマエケンさんの方がしっくり来る」と突っ込まれ「マエケンさん」と呼ぶ表情が思わずほころぶ。同じ長崎出身で同い年の今村猛とは若干顔が似ており、同じ22歳の堂林から「おう、猛!」といじられる。すっかりチームに溶け込み、順調に準備を進めている。

 今後は15日のシート打撃に登板し、18日の紅白戦で初実戦を踏む予定。持ち球とは言えないカーブにめどが立ち、2球種だけで驚きを与えた。末恐ろしい右腕から、本物のにおいがプンプン漂う。【佐井陽介】