ぶっつけ開幕あり-。阪神和田豊監督(51)が、出遅れた「4番候補」への揺るがない信頼感を見せた。沖縄・宜野座と高知・安芸でのキャンプ終了から一夜明け、27日はチームは休養した。最大の不安は、別メニュー調整中の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)。実戦に出られない状態が続くが、指揮官は3月28日巨人戦(東京ドーム)での「ぶっつけ起用」も覚悟の上だった。

 理想があり、現実もある。右足の張りなどで実戦デビューのメドが立たないゴメスに、打席ノルマは捨てた。「復帰がオープン戦終盤でも開幕は?」と聞かれた和田監督は「もちろんもちろん」とうなずいた。「俺も3~4(打席での開幕が)であるよ。焦らせてもね」。待ち焦がれた主砲への信頼感は揺るがなかった。一昨年のオフ、ウインターリーグでアーチを見ている指揮官には確信がある。ぶっつけ開幕でもやってくれる、と覚悟のうえだ。

 ゴメスは生まれたばかりの長女の健康問題もあり、来日が10日までずれ込んだ。マジメな性格が災いとなり、急ピッチが裏目。自身の体調不良に右足痛が続き、初実戦予定だった23日中日戦も試合直前に回避した。24日以降はウエートだけでキャンプ終了。和田監督も「立てるなら立ってほしいけど…」と当初は日本の配球に慣れるため開幕まで多くの打席に立たせる方針だったが、厳しくなった。

 明日3月1日からの高知、福岡遠征には同行せず、甲子園の流水プールなどでトレーニングする予定。ある首脳は「博多が終わってから状態を見る。もう1回シート打撃をしてから実戦になるだろう」と慎重に構える。7日からは、6日間で5試合が甲子園での試合。そこを逃せば、次の甲子園は4月8日のDeNA戦まで空く。本拠地の雰囲気を味わう貴重な場だが、半端な形では出場させない。

 若手の底上げをテーマにしたキャンプは終わった。鳥谷らのインフルエンザや西岡の右肘炎症、松田の右肘違和感などがあったが、主力の大きな故障者もなく1カ月後の開幕へ向かう。和田監督は、「キャンプMVP」に選んだ絶好調新井の三塁起用も掲げた。これも、チームの命運を握るカリブの大砲が一塁にいてこそのプラン。勝負の就任3年目、下を向かずに全快を待っている。【近間康隆】