打たれたい!?

 今日1日のロッテ戦(安芸)に先発する阪神藤浪晋太郎投手(19)が、サンドバッグ作戦を口にした。実戦で力の入れ具合を確かめるため「打たれてもいい」とめった打ちを歓迎?

 ルーキーイヤーの昨年は安芸で初めてマウンドに立った。アピールが必要ない立場に変わり、同じ安芸の地から一段上のルートで開幕に進む。

 打たれて分かることがある。初先発を前日に控えて高知入りした藤浪の口から出てきたのは「打たれてもいい」の一言だった。完投数アップを自分に言い聞かせる2年目シーズンを見据え、ペース配分を実感するのが狙い。サンドバッグ状態になって収穫を得ようとしている。

 藤浪

 打たれて困らないことはないけど、打たれてもいいくらいの気持ちで投げたい。どのくらいで打たれるか、打たれないかを試さないといけない。打たれることで分かることもあるので。力加減とか、打者がどういう反応をするかを見たい。

 開幕までを完全に逆算し、進化を求めている。昨季は球数制限があり、ローテーションを守って10勝しながら、完投はなし。いよいよ3本柱の一角としてフル回転が要求される立場に変わった。当然、長いイニングを投げきることを求められ、完投も当たり前のように視野に入る。ペース配分をつかむことが、今日投じる3イニングの課題だ。

 藤浪

 試合の最初から最後まで全力で投げることはできないし、そんなことをしている投手はいない。自分も去年は最後までその感覚をつかめなかった。そういう収穫を得たい。試せる立場だと思うので。

 独自調整を任され、2年目のキャンプを完走した。2月25日の韓国・LG戦では最速156キロをたたき出した。「もともとマイペースにやるのが好きだし、やりやすかった」と話すように調整は順調。毎週土曜日登板が固まり、本格的な実戦シーズンに入っても、ステップアップだけを向く。

 移動前の甲子園練習でブルペンに入った。久々に聖地の空気を確かめた。昨季対外試合デビュー戦を飾った安芸だが、立場は一変した。虎党のみなさん、打たれる藤浪を見てもどうぞご安心ください。【池本泰尚】

 ◆13年の藤浪安芸登板

 3月2日オリックス戦で実戦デビューした。登板前には「打たれたいと思ってマウンドに上がるピッチャーはいないと思うので、しっかり抑えたいと思います」と、今年とは真逆の発言をしていた。先頭坂口に内野安打を許したものの2回無失点。「決まった球はそう簡単に打たれない」と手応えを感じていた。