<オープン戦:ソフトバンク4-2楽天>◇1日◇ヤフオクドーム

 「ただいま」代わりのKラッシュだ。FA移籍したソフトバンク中田賢一投手(31)が楽天戦で先発し、3回1安打無失点の好投で本拠地デビューを飾った。4者連続奪三振の力投もあり、開幕ローテーション入りは確実。28日からのロッテとの開幕カード3連戦に登板する可能性も高まり、数年来苦手にするデーゲームの勝率アップを誓った。

 中田が“本性”をのぞかせたのは2回だった。1死からユーキリスに抜けたフォークを右前打された。「やっちゃいけないことをやった」と反省し、スイッチをオン。次の枡田から4者連続の奪三振ショーを演じた。中日時代は荒れ球から「暴れ馬」と呼ばれた右腕らしく、逆球もありながら球威で抑え込む。最速は142キロどまりも、球速以上に力強さが感じられた。

 「甘い球でもファウルが取れていた。真っすぐで押し込めていた。このままいきたい。球速も上がっていくと思う。三振を取った変化球は、うまく低めに決まっていた」

 昨年の覇者楽天打線を頭にインプットしながら、予定の3回を終えるとブルペンに直行。約60球を追加し、微修正を図った。

 ヤフオクドームの登板は12年6月の交流戦以来。北九州市大時代にも経験しているマウンドだった。「投げやすいマウンドと分かっていた。そのままのイメージで投げた」。移籍後初の本拠地マウンドも、北九州市生まれの中田にとっては地元への回帰。駆けつけた母親や知人も喜ばせた。

 すでに開幕ローテーション入りは確定的。このまま調整登板を重ねれば、シーズン初登板は開幕2戦目か3戦目になる可能性がある。3、4月の間、土曜日と日曜日はすべてデーゲーム。昨年まで7年連続でナイターより防御率が悪く、中田も苦手を自覚する。「土日が続くようなら、体もそれに慣らしていきたい」と新たな課題も見つかった。

 秋山監督は「投げっぷりがいい。落ち着いて投げているし、いいんじゃないか。あとはイニングを伸ばしていけば」と満足そう。加藤投手コーチも「手元でスピンが利いていた。非常にテンポがいいので、攻撃のリズムも良くなる」と味方への好影響を認めた。

 次回は7日DeNA戦(横浜)で、80球をメドに投げる予定。「1つ1つ丁寧に投げていきたい。結果が求められる時期。内容も見ながらだけど、結果を求めていきたい」。先発の柱として期待される右腕が、着実に段階を上がった。【大池和幸】