<オープン戦:ソフトバンク2-0阪神>◇4日◇ヤフオクドーム

 開幕OKや!

 阪神能見篤史投手(34)が4日、ソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクドーム)に先発。キャンプで磨いた直球に加え、宣言通り全球種を織り交ぜ3回2安打無失点。貫禄の投球を披露した。次回登板から3・28巨人戦(東京ドーム)へのスケジュールも鮮明になってきた。エースは2年ぶり3度目の開幕投手に照準を合わせ、最終調整を進めていく。

 視線の先にあるのは、もちろん2年ぶり3度目の開幕投手だ。能見は最後の打者ソフトバンク中村を二ゴロ併殺に打ち取ると、表情を変えずゆっくりとマウンドを降りた。3回。初めて安打を許すと1死一、二塁のピンチを背負った。だが、動じるところはない。カウント1-1から最後は内角直球で差し込んでの併殺。見せ場で、しっかりと本領を発揮するあたりがエースらしかった。

 「まずまずだったと思います。ランナー出してから、左の足の速いバッターをゲッツーに出来たのは収穫。フライアウトも多かったし。もう少しファウルをとれたらいいと思います」

 キャンプでこだわり続けたのは、直球だった。宜野座では序盤、直球だけのブルペンを続けた。150球以上直球を投げ続けた日もある。持論は「直球あっての変化球。直球が投げられれば変化球も投げられる」。この日は球速こそ最速141キロだったが、打者に引っ張られる場面は少なかった。“剛の能見”を、得点圏に走者を背負った場面でしっかりとみせつけた。

 本番スイッチも、いよいよオンになった。これまでの実戦では使わなかったフォーク、チェンジアップも本格的に解禁。1回2死ではフルカウントから吉村をフォークで左飛に打ち取った。

 ビジターでのドーム球場。開幕戦へ向けたデモンストレーションでもあった。能見自身も「こだわりはどうかな。自分はそこに合わせていくつもり。開幕に照準?

 僕の中ではそうですね」と、3・28に対する思いを口にする。和田監督は通達は済ませたかと問われ「何!?」ととぼけたが、すでに決定的な状況だ。

 能見隠しを行うことも明らかになった。巨人を避けて本番を迎える。中西投手コーチは「次は中4日だ」と、次戦登板が9日であることを示唆した。1軍の相手は開幕戦の相手巨人のため能見を隠し、先発はルーキー岩崎をぶつける。能見は調整のため、2軍戦中日戦(鳴尾浜)に先発することが決まった。以降は日程に合わせて登板。磨きをかけた直球、変幻自在の変化球…。手の内を見せることなく、開幕を迎えられるというわけだ。

 ほぼベストメンバーをそろえたソフトバンク相手に快投。キャンプから、調整の段階は1つ上がった。残り3試合の登板で開幕へ、G倒へ、向かう。ゆったりとしたワインドアップには貫禄が漂っていた。<能見の開幕VTR>

 ◆11年(4月12日、広島戦)東日本大震災の影響で開幕戦が延期された同年、能見は甲子園で初の開幕投手を務めた。広島前田健を相手に、6回2/3を投げて9安打されながら3失点の粘投。3四球を許しながら、7奪三振と要所を封じ、自身初の大役を白星で飾った。

 ◆12年(3月30日、DeNA戦)2年連続の開幕投手となった能見は、7回を投げて8安打8奪三振で3失点。初回に1点の援護を受け、5回まで無失点だったが、6回に3長短打を浴びて3点を奪われ、逆転を許した。2点ビハインドで迎えた7回裏に打席が回ってきて代打を送られた。試合は7回に能見の代打で登場した関本が逆転3ランを放つも、終盤もつれ、延長10回の末に5-5の引き分けだった。