<オープン戦:ソフトバンク2-0阪神>◇4日◇ヤフオクドーム

 日本ハムからFA移籍したソフトバンク鶴岡慎也捕手(32)が、開幕マスクに大前進だ。4日の阪神戦(ヤフオクドーム)でスタメン出場。2度とも盗塁を刺し、対外試合の盗塁阻止率は驚異の8割超となった。バットでも持ち味を発揮して技ありの右前打。秋山監督も絶賛する内容で、ライバル細川が離脱中でもあり、正捕手の座にグッと近づいた。

 ソフトバンク鶴岡が攻守に主役級の働きを見せた。まずは守備だ。1回1死から、阪神西岡の二盗を阻止。4回も2死から鳥谷の二盗を刺した。いずれも余裕のタイミング。得点の糸口を見つけようとする虎打線を肩で封じた。「練習通りできた。守備型のキャッチャーでやってきたので、去年の数字はないなと思ってやっている」。

 昨季日本ハムでの盗塁阻止率1割8分8厘はリーグ最低。それがここまで劇的な変化を示している。オープン戦と練習試合の対外試合出場5試合で、6度の盗塁企画のうち5度を阻止。投手との共同作業のとはいえ、8割3分3厘という驚異的な数字だ。キャンプ中、送球時の体勢を正対から右半身を引く型へ改良した。「早く投げようという意識から、しっかり強い球を投げようと変えた。これだけやっているとへんなクセがついているので」。プロ12年目。ベテランの変化が奏功している。

 精度上昇の右肩に続き、バットでも魅せた。3回は1死無走者からチーム初安打となる右前打。開幕投手が濃厚な能見の外角低め直球を打ち返した。「ああいうピッチャーから打てたのは良かった」。こちらも対外試合で打率4割。計4安打のうち、3本が中堅から右方向と持ち味は十分だ。5回の右飛も、とらえた惜しい当たりだった。

 秋山監督は「安定している。打撃も芯でとらえているし、いいんじゃない」と高評価を与えた。細川が左肩痛で2軍調整中。鶴岡の経験と現状を考慮すれば開幕スタメンに当確ランプが点灯しそうな勢い。存在感が大きくなってきた。【大池和幸】