右肘の張りを訴えている中日浅尾拓也投手(29)の開幕1軍が5日、絶望的になった。刈谷での西武戦が雨天中止となり、ナゴヤ球場での練習に参加したが、キャッチボールを回避。名古屋市内の病院で今年2度目の精密検査を受けた。診察結果は今日6日以降に判明するが、球団関係者は開幕は厳しいと明言。絶対的セットアッパー不在で、新生中日が船出することになりそうだ。

 浅尾はウオーミングアップこそ参加したが、ボールは握らなかった。今年2度目のキャッチボール回避。そして中日屋内練習場でのメニューを途中で切り上げると、人知れず名古屋市内の病院に向かった。張りを訴えている右肘が回復しない。沖縄キャンプ中に続く、精密検査受診となった。

 球団関係者は「(古傷の)肩は問題ないが、肘の腫れがひかない。状態はよくないということ。普通に考えて、この時期にこれでは(開幕は)しんどいでしょう」と説明した。診察結果は今日6日以降に判明するが、当面のノースローが決定。戦線離脱が濃厚で、開幕1軍は絶望的となった。

 浅尾はキャンプ中の2月20日に右肘の張りを訴え、今季初の実戦形式を予定していた25日のシート打撃登板を回避。今月2日には打者相手に打撃投手を務めるまで回復したが、わずか12球で降板した。3日の休日をはさみ、4日はキャッチボールを行ったが40メートル止まりだった。「僕はこれまで焦ってダメになってるんで」と慎重に調整してきたが、再発の形で限界の時を迎えた。

 絶対的セットアッパーの有事に首脳陣も口が重かった。谷繁兼任監督は「どうなんですかね…。開幕?

 わかりません」と厳しい表情。森ヘッドコーチは「トレーナーに聞いて」とだけ話した。だが2日の緊急降板後には「いいわけないだろ。来年の開幕には間に合うんじゃねえか。期待はしてるけど、もともと計算に入れてない」と覚悟を決めたようにコメント。そしてこの日、雨のナゴヤ球場にどんよりした空気が流れた。

 浅尾の開幕不在は、右肩故障でWBC日本代表候補から落選した昨年に続く不安材料となった。岩瀬につなぐ勝利の方程式の再編成は急務。現状、代役は右の田島や左のパヤノらが候補になりそうだが、未知数な部分も多い。高木監督時代の昨季も、7月の浅尾復帰まではやりくりも含めて大苦戦した。キャンプから大きなけが人も出ず順風だった新生中日に、最初の試練が訪れた。【松井清員】