<オープン戦:ソフトバンク6-0阪神>◇5日◇ヤフオクドーム

 押し込む「石直球」がベールを脱いだ。阪神の新守護神呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国・サムスン)がオープン戦デビュー。ソフトバンク戦の7回から登板し、1回1安打1失点で1奪三振。左打者5人と対し、果敢なインハイ攻めでいきなり死球も与えたが余裕の表情だ。最速148キロの直球にスライダー、スプリットも交え、収穫の多いマウンドとなった。

 呉昇桓の「石直球」が中腰に構えた藤井のミットを鳴らした。7回1死二塁。柳田に中越え適時二塁打を浴びた直後から、ギアを変えたように本領を発揮した。ソフトバンク高谷に初球からいずれも外角の145キロ、146キロの直球で連続空振りを奪った。3球目の勝負球。捕手藤井は腰を浮かせ、内角高めを要求した。呉昇桓は表情を変えずにしっかりとうなずき、144キロの石直球を投じた。注文通りの空振り三振だった。

 呉昇桓

 空振りを取れたし、内容はよかった。1失点はしたけど、全体的にはよかった。ドーム球場も投げやすかった。

 果敢に内角をついた。先頭長谷川には初球以外の3球はすべて内角。ユニホームの袖をかすめる死球となったが、150キロに迫るボールで懐をえぐった。

 同時に失投の怖さも思い知った。1死二塁として柳田に中越え適時二塁打を浴びた。これも高め直球だったが、真ん中より。「1球の失投がだめだった。これからは安打を打たれないように、失点しないようにしたい」。18球のうち直球を15球。オープン戦初登板はストレートで押した。

 前日4日の夜、日本球界の先輩で同学年のソフトバンク李大浩と焼き肉店のテーブルを囲んだ。昨年3月のWBC以来の再会で、李大浩からはノルマを設定された。「30セーブは当然するとして、40セーブはやれよ」。裏切るわけにはいかない。呉昇桓はしっかりとうなずいた。試合前には李大浩からバットを受け取った。江口通訳によると「打席に立つかもしれないからもらった」。大事そうに持って帰った。

 1失点した暗さはなく、首脳陣も前向きだ。和田監督は「打たれた後の真っすぐがよかった。これから上げてくるだろう」と期待し、中西投手コーチは「スライダーもよかったな。(失点は)気にするようなことじゃない」と意に介さなかった。次戦はいよいよ本拠地甲子園にデビュー。初陣で、期待値を上げた。【池本泰尚】