<オープン戦:阪神2-6ロッテ>◇7日◇甲子園

 虎のホットコーナーが熱い。今年初の甲子園開催となったロッテとのオープン戦。阪神新井良太内野手(30)が8回、甲子園1号アーチを左翼席にかけた。この日の6回までオープン戦29イニング連続無得点と“寒波”に見舞われた打線にあって気迫の3安打。今成らと争う開幕サード争いが、ますます激しくなってきた。

 寒風にも負けない、熱い思いの詰まった打球だった。8回、新井良が右腕大谷の121キロ変化球をとらえ、左翼席中段まで運んだ。7回に押し出し四球を今成が選び、オープン戦30イニングぶりの得点を挙げたものの、ストレスが残っていた甲子園の空気を変えてみせた。

 「たまたまですけど、積極的にいこうとは思っていました。監督もそう言っていましたし、チーム全体がそういう方針だったので」

 3回には中前打、7回には左前打、いずれも早いカウントから積極的に振っていった結果、本塁打を含む3安打。サードを争う今成が打ちまくっている中で、オレもいる!

 とばかりに良太が気を吐いた。

 「サードだけは熱いな」

 指揮官の言葉通り、雪がちらつくほど冷え込んだ甲子園を熱くしたのは背番号32のフルスイングだった。

 昨年の秋季練習で和田監督とともに打撃改造に着手した。打者にとって永遠のテーマとも言えるタイミングを取りやすくするため、左足をすり足気味に変えた。大きなテークバック、派手なフォローは封印したが、スタンドインさせるパワーは変わらない。秋季キャンプでは掛布DCも「伊勢エビの踊りのようなことがなくなっている」と評価。沖縄キャンプでも自分のスイングを撮った映像を何度も確認し、試行錯誤を繰り返して、ここまでたどり着いた。

 昨季は119試合で打率2割3分8厘、14本塁打、51打点。レギュラーを完全に獲得するには至らなかった。「全然だめです。最低ですよ」。オフの間、外食に出かけても締めのご飯ものは控えた。夜の炭水化物を抜いて、体重を制限しながら春のキャンプへ臨んでいた。

 今季、虎のサードは最大激戦区だ。打撃センスを買われて転向した今成、昨季CS広島戦で先発した坂ら熱いバトルが続く。勝ち抜くために立ち止まっている暇はない。試合後、新井良の口からは何度問われても自信をにじませる言葉は出てこなかった。

 「きょう1日出たからってわからない。課題は全部です」

 釣り上がった眉の間に、しわができた。険しい表情だった。新井良が目指すものはそれだけ高い場所にあるということだろう。【鈴木忠平】

 ▼新井良の本塁打は、今季オープン戦5試合目でのチーム1号。新井良は11年3月21日のオープン戦日本ハム戦(札幌ドーム)でも、チーム初本塁打を放っている。