レジェンド開幕、鯉斬りは任せろ!

 6年ぶり7度目の開幕投手を務める中日川上憲伸投手(38)が胸をたたいた。谷繁元信兼任監督(43)のサプライズ公表から一夜明けた25日、28日広島戦(ナゴヤドーム)への熱い思いを語った。12年の日本復帰後は広島戦に3勝0敗の相性を誇る。38歳9カ月での開幕投手は02年山本昌の36歳7カ月を抜いて球団史上最年長で、いきなり歴史を塗り替える。

 憲伸の言葉は力強かった。6年ぶり大役が明らかになってから初のナゴヤドーム練習を終えた。「気持ちは分かっていたし、そのつもりでやってきた」と目を輝かせた。そのつもりとは、もちろん開幕投手。前日24日に谷繁兼任監督が「開幕川上」を明言した。「キャンプから今年はやってやるぞというものが全身から出ていた」という理由だった。1度戦力外になった男を、晴れ舞台に抜てきした指揮官。その心意気をしっかりと受け止めた。

 1カ月前から、テンションは上がっていた。正式に通達されたのは1日DeNA戦の直前。ナゴヤドームだったと明かした。「早いなというのはあったけど、頑張らないといけないという思いだった」。これまで6度の開幕投手を務めた日米通算124勝右腕の気持ちは約1カ月間、高まる一方だった。

 赤いユニホームを見れば、さらに闘争心が燃え上がりそうだ。広島とは過去3度も開幕戦で対戦しながら、いずれも勝ち星がついていない。

 ところが12年の中日復帰後は広島戦3勝0敗と不思議と負けがない。つまり、06年10月に黒星を喫してから7年間は広島戦で負け知らず。米国でプレーした3年間があるにしても、相性の良さは特別だ。

 投げ合うのは日本を代表するエースに成長した前田。初顔合わせとなるマエケンにも「相手は関係ない。バッターを見てやってるので」ときっぱり。川上が開幕で白星をつかめば、07年ヤクルト戦以来、7年ぶり4勝目。投げるだけで、38歳9カ月はチーム史上最年長の開幕投手となる。02年に記録した山本昌の36歳7カ月を更新。それを聞いた川上は「いろいろ探してもらってありがとうございます!」と苦笑いだった。レジェンドだらけの14年中日、開幕戦から新たな伝説が生まれる。【桝井聡】